グローバル経営の極北

グローバル経営を考える「素材」を提供します

ベンチャーキャピタルにも「機械学習」が活用されはじめている

マッキンゼー・クオータリーの記事で面白いものがあったのでご紹介。Hone CapitalというシリコンバレーのベンチャーキャピタルのManaging PartnerであるVeronica Wuへのインタビューで、投資判断に「機械学習」のモデルを活用している、という点が非常に面白…

GoogleやTwitterに学ぶ転職者受け入れのコツ

昨日のエントリで触れたHBRの記事では、米企業の新規採用者のOnboardingプロセスについての工夫が多く挙げられていて、実務上とても参考になりそうなのでまとめてみたい。 Google まずはGoogleの仕組みについて。Googleでは、社員の入社日直前の日曜日に、マ…

中途採用者にすぐ活躍してもらう秘訣とは?

ハーバード・ビジネス・レビューで、新規の採用者をどうやって組織にうまく順応させていくか、というなかなか面白いテーマの記事があったのでご紹介。 hbr.org まず、70の心理学研究をメタアナリシスしたこの論文では、自分がその組織に「受け入れられている…

人生で「逃げ道」を確保しておくことの大切さ

とてもためになる記事が多い樋口さんのブログでこんなエントリがあった。 これは全くもって仰る通りで、退路を断った結果失敗する事例の方が実際は多いから、逆に成功者の退路を断った話が英雄譚として「消費」されるのだろうと思う。 しかも、成功者は能力…

日本の組織が専門家をうまく扱えないワケ

少し前になるが日本から香港の大学に、主に給与を理由として移籍することになった経済学の教員の方が話題になっていた。 その方に限らず、大学の教員の方が低い給与や雑務の多さを嘆くのはソーシャルメディアでよく見かける光景。ここから、専門性の強いはず…

仕事の持つ物語性について

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術 作者: クリストファー・ボグラー,デイビッド・マッケナ,府川由美恵 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス 発売日: 2013/09/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件)…

育児とはマネジメントである

娘は毎日すくすくと育っていて気づいたら1歳半。仕事と育児に追われる生活を続けながら重要な気づきがあって、それは、育児とはマネジメントである、ということ。 多くの人は育児や家事を「作業」と思っている。しかも偏見のある人からすると「単純作業」な…

「内面の葛藤」はそれ自体では解けないということ

この記事で書いたように、仕事も含めて改めて人生の意味みたいなものを考える時期になってて、久々に内省的なモードになっている。仕事ってなんなのか、というのを、未来は全て想像でしかなかった若い頃と違う形で、15年ほどの仕事経験を踏まえて改めて考え…

「どんな状況でも仕事で成果を出すのがプロ」という主張の危うさについて

最近のネットは、成功した起業家や、注目企業で成果を出した人のインタビューや記事に溢れていて、そういった人への憧れや、何かを学び取りたいという皆の思いが強く感じられる。それ自体は特に悪いことではないし、学びを得られることも多いのだけど、一つ…

なんであんなに仕事に熱中してたんだろうか?

育児をしていると、自分の人生観みたいなものが組み替えられていくのを実感する。今年1年は、仕事より育児・家事の比重が間違いなく高かったのだけれど、そういう生活を続けていると、24時間仕事のことばかり考え、毎日少しでも経営を良くするにはどうした…

経営陣が現場で泥まみれにならずに「日本的経営」なんてできないのでは

僕は小売業には明るくないけれど、このインタビューは経営のあり方について示唆を与えてくれる。 まず、玉塚氏がIBM時代に柳井氏に「説教」されたと語るところ。 【玉塚】君は何をやりたいんだと言われました。僕が本当にやりたかったのはコンサルティングで…

ネガティブな人こそ組織に必要かもしれないわけ

今日はエンゲージメントに関するHBRの記事をご紹介。 従業員のエンゲージメントの強さがパフォーマンスを高める、というのは、アメリカの経営まわりでは最近よく見かける考え方。それに対しこの記事は、確かにエンゲージメントは重要だけど、そんなに単純な…

過去40年の年収データが示すアメリカの「分断」

田端氏と山口氏のツイートを踏まえて、こんなツイートをした。 構造としては直感的に理解はしていたとしても、「解雇規制緩和されたとき自分はアップサイドのほうが大きい」と自信を持っている人の割合が、日本全体で見れば少なく、マクロの世論としては規制…

RBSがインドIT大手Infosysとの約300億円の契約を解除

RBSがインドSI大手のInfosysとの3億ドル(約300億円)の契約を解除したというニュースをFinancial Timesが報じている。 www.ft.com 記事によると、RBS傘下のWilliams & Glynのシステムを独立して構築することにInfosysは失敗した模様。過去数年の度重なる遅…

Adobeのハーバード・ケーススタディーからクラウド時代の経営変革を考える

Google, Amazon AWS, Salesforceといった企業が切り開いてきたクラウドビジネスはエンタープライズIT産業の風景を完全に変えました。それは単にテクノロジーの進化という点に留まらず、現代の「経営」の基盤にも大きな影響を与えています。 この記事では、シ…

データ分析してみると「人事の常識」は間違ってるかも、というお話

Mckinsey Quarterlyは、経営の最前線のテーマについて幅広く触れた論考が読めるので重宝している。マッキンゼーのコンサルタント自身が執筆しているので、程よく現場感覚もあり、またデジタル化というテクノロジーの大きな流れもきちんと抑えているので、日…

優れたプレイヤーがマネジメントを嫌うわけ

僕は様々な部署のマネージャーとやり取りがあるのだけれど、プレイヤーとして優れた人ほど、マネジメントの立場で数字を管理したり、人を方向づけたりすることを、どこか「純粋でない」仕事と思っているなと感じる時がある。それはそれで一つの見識と言える…

なぜ目標を立てることが成功の秘訣なのか~産業・組織心理学から読み解く

産業・組織心理学エッセンシャルズ 作者: 田中堅一郎 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2011/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 今日は最近じっくり読んで勉強しているこの本のご紹介。 経営管理の仕事をしていると、組織や人のマネジ…

「ダメならクビ」がハイテク産業の勢いを支えている理由

いま一緒に仕事をしている事業部長はなかなか含蓄のあることを言うのだけれど、この前こんなことを言っていた。 僕のポジション(シニア・ディレクター)って、運や政治に左右されることも多いから、急にポジション失うこともよくある。それはしかたないのよ…

ラオスの村を訪れた時のこと

僕は会社でつい近くの人と雑談してしまうんだけど、今日なぜか大学時代のNGO活動の話になった。 ちょうど「国際援助」というのが日本でも盛り上がりを見せており、国際政治における新しい「アクター」としてNGOが注目を浴び始めたころだった。僕もあるNGOに…

米投資銀行の「Google化」について

next.ft.com ゴールドマン・サックスの新卒応募が25万人を越えた、というFinancial Timesの記事について触れたい。 まず、この記事の背景にあるのは、アメリカでは金融危機後の規制強化と業績不振、高額報酬への世間からの強い批判、極端な長時間労働、など…

ベネッセ原田社長の退任から透ける「現場の抵抗」問題解決の難しさ

business.nikkeibp.co.jp ベネッセの原田社長が退任を発表した。この日経ビジネスの記事では、彼が就任当時に漏らしたこんなコメントに触れている。 ベネッセの社員は教材作りなどで優秀だが、学級委員タイプでマーケティングや財務などの経営の基本ができて…

キャリア構築のヒントについて、リクナビNEXTジャーナルに寄稿しました!

next.rikunabi.com リクナビNEXTジャーナルに寄稿しました。20, 30代の若いビジネスパーソンを励ますような記事を、というお題を頂いてから色々考えました。結果、あまり大上段に構えて抽象的な話をしてもしょうがないし、自分の経験を具体的に伝えることで…

パワポ1枚でビシっと決める 経営陣から合意をとりつけるコツとは?

経営陣によるビジネスレビューに参加することが多いのだけれど、いつも気になるのは、パワポで10枚以上になるような資料を作ってくる人たちのこと。しかも、ご丁寧に1枚目はデータの前提や定義からはじまり、その後、一枚一枚彼らの考えるロジックが淡々…

留学生から敬遠される日本企業

「外国人からは「役割や仕事内容が不透明」「能力や成果に応じた人事評価が不十分」「長時間労働」などの声があるという。学生からは「日本の就職活動の仕組みが独特で分からない」との不満も指摘さされた」 最近では、グローバル化の必要性を強調しない日本…

メールでの議論やめませんか?

僕は経営管理を仕事としているので、複数のチームを俯瞰的に眺めてうまくいっているか、なにか問題がないかといつも気を配っている。 そうした仕事をしていると痛感するのは、チーム内もしくはチーム間のコミュニケーションや情報流通が滞ることで全体の生産…

グローバル企業のマネージャーは「経営陣」である

僕が前職の米グローバル企業ではじめて管理職になった時に感じたのは、会社から期待されるステージが一つ上がったなということだった。もっと言うと、マネージャーになるということは経営陣の一人になる、ということだと感じた。 これには「外資系」にいる人…

noteでマガジン「デジタル時代の経営を読み解く」をはじめました

noteで定期購読のマガジンをはじめました!「デジタル時代の経営を読み解く」というタイトルで、デジタル化の進展で大きな影響を受ける「経営」について論じていきます。ブログ、ツイッターと連動する形で、そこでの話題や論点をさらに深掘りしていくことを…

サイボウズ「ちゃんと赤字になった」の背景とは?

サイボウズの直近の決算は「赤字」だった。青野社長の「ちゃんと赤字になった」というコメントの背景に触れたい。 重要なポイントは、クラウドのソフトウェア企業の多くは「赤字」決算を続けているということ。以下米の代表的なクラウドソフトウェアの企業の…

電通の海外&デジタル事業強化は着々と進行中

電通の新たな買収(カナダのデータ分析のコンサルティング会社)が発表されていた。電通は海外事業&デジタル事業強化に舵を切っている。 そこで、直近の中期経営計画を見てみる。 ◆中期経営計画 “Dentsu 2017 and Beyond” これまでの進捗と今後の展望http:/…