グローバル経営の極北

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日本企業のグローバル経営移行へのヒント~武田薬品、日立製作所、JT

金曜の夜なので軽めにインタビューの紹介。武田薬品の長谷川会長、日立製作所の中西会長兼CEO、そしてJTの経営企画部長のインタビューは、日本企業がどうグローバル標準の経営モデルと向かい合うかの好例。「日本人」であることにこだわりすぎること、グロバール経営の経験を積んだ日本人が少ないこと、など共通の課題が浮かび上がる。

【武田薬品】

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ー 今の武田の舵取りには、ウェバー社長が最適だと考えた訳ですか。

長谷川:そう。それは私がやってもできません。形だけはできるかもしれませんが、彼が今手がけているような実態を伴ったレベルまではできません。私は自分のことを良く分かっていますから。

ー 長谷川会長すらできない。重い言葉ですね。

長谷川:本当に正直なところそう思っています。社長の役割はやはり特別なんですよ。共通の素質とか資質というのはあるけど、企業が置かれている状態によって、特別に求められるものがあります。

 大型新薬の特許切れの中で、いかにして成長のモメンタム(勢い)を失わないようにするか。短期的には買収で補うけど、中長期的に見れば研究開発の生産性を上げるといった手を打たないといけない。そのために必要な人材を全部呼んできたということです。

 私はクリストフを見ていて、自分は経営者として本当に足りないところがたくさんあったなと思っていますよ。

 【日立製作所】

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ー 日本企業がグローバル展開しても、日本人が現地法人トップになるだけでは限界があるというのが、これまでの歴史。そこから脱皮しないと真のグローバル企業にはなれない。

中西:その通りです。日本企業の海外展開の歴史で見ると、まず日本で作って海外に持っていって売るという「輸出型」が中心だった時代は、現地に権限を委譲したり、現地人をトップにしたりして任せる、ということまでは必要性が小さかったのかもしれない。

 しかし今は違うわけですよ。マーケティングから販売、開発や生産、アフターサービスまで、フルバリューチェーンが海外で丸ごと必要になるでしょう。そうなると日本人が海外にのこのこ出かけてオペレーションを全部やろうとするのは無理。経営幹部はほとんど外国人の現地人材になり、立ち上げ時は日本人が経営トップにいたとしても、いずれは現地人材をリーダー格に引き上げる必要性が出てきます。

 昔の日本企業はね、例えば海外に大きい工場を造って、生産機能だけを移して、日本人の製造部長さんが最後の仕上げの仕事と称して海外へ行って、毎日ゴルフをやってたわけですよ(笑)。もうこれじゃ、だめです。

 【JT】

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瀧本:どちらかというと、日本本社の組織が、よりジュネーブの組織に近づいていくイメージでしょうか。それとも、現在のどちらの組織とも違う新しいものができるのでしょうか。

筒井:私は、どちらでもないものができるのではないかと考えています。日本側にもJTインターナショナル側にも、それぞれ長所と短所がありますから。

JTインターナショナルは、外資系に近くて、意思決定のスピードが早く、各自のジョブディスクリプションがはっきりしています。一方、日本の場合は、職務範囲の境目があいまいな分、若いうちからいろんな経験ができますし、人の仕事を若干取り込んできても、文句を言われないところがあります。特にJT固有のことかもしれませんが、経営陣と新入社員までの距離が、ジュネーブに比べると比較的近いのも特徴です。

私は、海外で経験したマネジメントスタイルと、JTがこれまで培ってきたスタイルの中間に、何か新しいものが生まれるのではないかと思っています。 それは、ある意味、新しい「日本型経営」みたいなものかもしれませんが、JTを通じて新しい経営スタイルを示せればいいなと考えています。