グローバル経営の極北

グローバル経営の極北

日系メーカー、米系IT企業を渡り歩いてきた経験をもとにグローバル経営について語ります。Twitter(@nori76)もやってます

フルタイム2馬力がなかなか実現しない日本~世帯年収の引き上げをもっと意識すべきでは

 こんなツイートをした。

これに対して2馬力でなく1.5馬力が現実的ではとのリプライを貰った。

 ただ、1.5馬力というのは既にかなり実現している。以下の統計を見ると共働き世帯数は専業主婦世帯数を1996年に抜き、その後も順調に伸びて2014年度で1,077万世帯に達している。一方専業主婦世帯は減り続け14年度で720万世帯となっている。

f:id:nori76:20160124224843p:plain

出典: 専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移  http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/qa/a07-1.html

 しかし、共働きが増えたといっても、女性の多くはフルタイム(正規)の雇用でなく、パートタイムが依然多い。以下は平成23年度のデータだが、どの年代を見ても妻の就業率のうち正規雇用率は14-16%に留まる。つまり、2馬力でなく、1.5馬力が主流と言える。

f:id:nori76:20160124230738p:plain

出典: http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2013/201312/201312_08.html

 

この結果として、共働き世帯比率は増えているにも関わらず、1世帯あたりの平均所得は以下のグラフのように、児童のいる世帯でも平成8年の781.6万円をピークに一貫して減少を続け、平成25年では696.3万円となっている。日本で不況が状態化し夫の年収が上がらない、もしくは下がっていく、という状況となり、妻がパートタイムでそれを支えるという構図が見て取れる。

f:id:nori76:20160124230532p:plain

出典: http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa14/dl/03.pdf

共働き世帯がこれだけ増えながらも、扶養控除の103万円の上限といったインセンティブ設計の課題、保育園の未整備、妻に偏りがちな家事・育児、依然残る終身雇用制を前提とした人事評価制度、など様々な要因を背景にして、日本ではフルタイム共働きはまだ少数派の状況。安倍政権および日銀は企業への賃上げを促しているが、フルタイム共働きを増やし「世帯年収」を上げていく方向に制度設計することを是非検討して欲しいと個人的には思う。

この問題については、「仕事と家族」が国際比較なども交えて日本の労働市場の問題点に触れており参考になる。

 

仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)

仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)