グローバル経営の極北

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メールでの議論やめませんか?

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僕は経営管理を仕事としているので、複数のチームを俯瞰的に眺めてうまくいっているか、なにか問題がないかといつも気を配っている。

そうした仕事をしていると痛感するのは、チーム内もしくはチーム間のコミュニケーションや情報流通が滞ることで全体の生産性が落ちるということ。

例えば、営業部門はマーケティング部門が自分達が思うようなキャンペーンやイベントを打ってくれないと文句を言っている。逆にマーケティング部門は、営業部門が非協力的なので、効果的なキャンペーンやイベントができないと文句を言っている。

もしくは、メールでの議論。お互い全く歩み寄らず、厳しい口調のメールが飛び交う。指摘は段々細部に入り込んでいき、もともと解決したかった問題からはどんどん離れていく。

経営の立場からすると、こうした事例は頭が痛い。コミュニケーションの不調は、案件成約を滞らせたり、商品発表の効果を落としたり、顧客の不満解決が遅れたり、と実際に経営に負の影響を生じさせるからだ。

なので、僕は対立する2者の間に入り、それぞれから事情を聞き取った上で問題の構造を整理する。その上で両者を呼んで(できれば対面で)ミーティングを開き、整理した構造をもとに、そもそもの課題や目的はなんなのか、そしてどういったアクションを取ればそれが解決するのかを提示し、お互いの同意を得ていく。

ポイントは「そもそもなにがしたかったんだっけ」という点をはっきりとさせること。両者とも問題を解決したいんだけど、それぞれのやり方に固執していたり、感情的に対立している場合が多いからだ。なので、本来の目的や課題を整理してあげて、そこで両者から(公式の場で)同意をとって、その上で協力しましょうよ、と持っていく。

これがうまくいくのは、きちんとした目的、つまり大義名分がはっきりと提示された時に、それを正面から否定することは難しいからだ。そこまで否定してしまうと、じゃあお前はなにをしたいんだ?、ということになるわけで、さすがにそのレベルで議論をして自分を正当化するのは難しい。

もちろん教科書通りにいかないことも多いけれど、組織やコミュニケーションに働く力学には法則や一般化できる部分が必ずあるので、それをうまく活用していくことが経営では重要となる。特に、最近はデータサイエンスの活用でこうした組織やコミュニケーションの問題の構造が明らかになりつつあるので、今後はますますそういった知見を活用することが重要になるだろう。

と、こうして書いている間にも、またメールで喧嘩がはじまってる、、、今日も「経営のお仕事」は続いていくわけである。