パワポ資料をぐっと魅力的にしてくれる「アイコン」を無料でゲットしよう!
最近資料デザインを「現代的」にしたいなと思っていて、フラットデザインのテンプレートを購入して研究したりしてます。そこで重要となるのが「アイコン」で、うまく使うだけで資料がぐっと見やすくなります。いろいろとググってみると良いものがたくさんあるので、今回はそれをご紹介。
まずはこちら。
Googleが提供していてそのサービスでよく使われているMaterial Icon 942種類をパワポですぐ使えるようにコンバートしてくれています。たくさんのカテゴリーごとに網羅的にアイコンが揃っているのですごく使えそうです。さっそくダウンロードしました。
また、同じ方がFont Awesomeのアイコン369種類を同様にパワポ向けにコンバートしてくれています。
親しみやすいデザインが多いので、さまざまなタイプのパワポ資料に活用できそうです。いいですね。
次はこちら。
これは海外のデザインスタジオが作成しているアイコンをやはりパワポ用にコンバートしてくれています。全部で331個あり、ポップでかわいらしいデザインなので、プロダクト開発やマーケティングの資料などに使うのにもばっちりな感じです。
もう一個いきます。
これは前から好きでよく使っているアイコン集です。ちょっとユーモアのある人物のアイコンがたくさん揃っていて、親しみやすいパワポ資料を作りたい時はこのサイトを活用しています。
ぜひ活用してみてください。他にもいいものがあれば足していきます!
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5月のおすすめ本たち - 「心の鍛え方」から「幸福の設計」まで
もう6月も半ばですが、、5月に買った本、読んでいた本をまとめてみました。どれも面白いのでぜひお好きなものを読んでみてください!
ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」
W杯で歴史的偉業を成し遂げたラグビー日本代表の「メンタルコーチ」だった著者が、チームを実際どうサポートしたかを心理学の裏付けと共にまとめた本で、学びが凄いです。ビジネスでもメンタルのコンディションをいかに整えるか、というのは最近注目されてきてますが、その点からもおすすめ。
New Scientist 起源図鑑
恵比寿の有隣堂が大好きなんですが、陳列されているのを見てとても面白そうだったので購入。銀河、生命、睡眠、貨幣、文字、時間、インターネットなどなど、色々なものの起源を「科学の視点」からきちんと説明していて勉強になります。子供に聞かれた時にきちんと答えるためにもぜひ!
New Scientist 起源図鑑 ビッグバンからへそのゴマまで、ほとんどあらゆることの歴史
- 作者: グレアム・ロートン,ジェニファー・ダニエル,佐藤やえ
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2017/12/14
- メディア: 大型本
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ウェルビーイングの設計論
マインドフルネスが欧米でやたらと盛り上がっているように、テクノロジーはどんどん進化するけど、それってみんなの「幸福」につながってるの?というテーマは最近注目されています。この本は、その観点から様々な分野の研究を学際的にきちんと整理した上で、現場への示唆も与えてくれるので有益です。ちびちびと読み進めてます。
ウェルビーイングの設計論 ―人がよりよく生きるための情報技術
- 作者: ラファエル A.カルヴォ& ドリアン・ピーターズ
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2017/04/18
- メディア: Kindle版
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組織行動
私が愛する本屋のひとつ丸の内の丸善で購入しました。モチベーション、日本と欧米の人材マネジメントの特色、リーダーシップなどこの分野の主要な論点を分かりやすく論じていて面白いです。最近日本でも「ティール組織」がバカ売れしていますが、現在の経営の最重要の論点の一つはこの「組織設計」の部分なので、その点から有益かと。
日本軍兵士
ガダルカナルでの敗北以降に兵站が完全に崩壊し、戦史上異例なほど高い餓死率となったことなど、客観的なデータをもとにした歴史家の淡々とした記述が、先の大戦の悲惨さを浮き彫りにしています。一度きちんと読んでおきたい本です。
「310万人に及ぶ犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う」
スターバックス成功物語
スターバックスの創業者ハワード・シュルツの自伝ですがやはり面白いです。シアトルでスターバックスと出会って衝撃を受けて、そこに人生を賭けていくところが情熱に溢れていていいです。彼の情熱と実行力、タフさが好きなんですよね。あと、シュルツが将来事業をスケールさせるビジョンを持っていて、事業の成長に合わせて必要となる大企業の経験者を迎え入れていくところなど、情熱だけでない経営者としての力量を感じて学びがあります。
意思決定の心理学
この本も少しずつ読んでますが、心の機能を、情動を司る「速いこころ」と理性を司る「遅いこころ」の2つの観点から捉えて、意思決定の仕組みをその両者が絡み合うメカニズムから整理しており面白いです。認知療法のモデルもこれがベースなんだなと。おすすめ。
意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策 (講談社選書メチエ)
- 作者: 阿部修士
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/27
- メディア: Kindle版
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イノベーションは細部に宿る:小さな部分への分割がイノベーションとなる一つの条件
いつもブログを読んでいただいている皆さま、ありがとうございます。今回は気鋭の経営学者である岩尾俊兵さんに特別に寄稿いただきました!トヨタに代表されるような「改善」の連続が「掛け算」として大きなイノベーションに繋がっていくモデルを、コンピューター・シミュレーションによって実証的に明らかにした、非常に面白い研究をされている方です。
以下プロフィールにあるように、東大「初の」経営学博士である彼の論稿をぜひ楽しんで下さい!
岩尾俊兵さんプロフィール
1989年佐賀県生まれ、2018年東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、東京大学創設以来最初の博士(経営学)を授与される。同年、明治学院大学経済学部国際経営学科着任、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター客員研究員、中堅ベンチャー企業複数社の取締役・監査役・技術顧問等を兼務
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イノベーションをどうしたら創出できるのか?という問いは、一般社会、政策会議、そして経営学界など、多くの場所で繰り返し問われ続けている。そして、そうした場での一般的なイメージは「(一般人による地道な改善ではなく)ジョブスのような天才が強力なリーダーシップによって、これまで誰も作らなかったような新製品・新サービス・新生産方法などを世の中に生み出す」というものだ。しかし、こうしたイメージではある重要な可能性が見過ごされてしまう、というのがここでの主張だ。
実は、経営学の世界においても一般的イメージ同様、おおむね「ラディカルなイノベーションを生み出すベンチャー対インクリメンタルな改善しかできない大企業」という図式が語られることも多かった。そして、インクリメンタルな改善は本質的に世界を変えるようなイノベーションとはなりえないとされ、それゆえに改善が得意な日本はダメなのだという日本悲観論の根拠とされたほどだ。
こうした常識に反旗を翻し、改善であっても世界を一新するイノベーションとなりうることを、筆者は実証分析と最新のコンピュータ・シミュレーション技術によって世界で初めて示した*。これは、今年5月のトヨタ自動車決算発表時に豊田章男社長が記者からの「トヨタは改善でイノベーションを起こせるのか?」という筆問に対しておこなった「インプルーブメント(改善)の何が悪い、それが結果としてイノベーションにつながっていく」という旨の発言が、単なる標語や苦し紛れの反論でなく本質を突いたものであったことの証左でもある。
一方で、改善は改善でしかない場合もあり、豊田社長の言に全面的に賛成することもできない。ここで大事なのは「改善がイノベーションとなる場合と、改善が改善以上の何物にもなれない場合との分け目は何なのか?」という疑問に答えられることである。
両社の分け目は、答えを知ってしまえば手品のように単純である。それは「足し算」か「掛け算」かの違いである。仮に、改善活動が工場内のある部分の効率を1%上昇させるとしよう、例えば500か所の部分があるとして、それぞれが独立して1%の効率上昇が見込まれたなら、全体の効率上昇もまた1%となる。これは1%を500で割ったものを500回「足して」いるため当然の計算である。それに対して、ある部分の1%の改善を「前提にして」他の部分の改善が1%おこなわれるとすると、この効果は「複利計算」のような掛け算的・指数関数的なものとなる。全体が500あるとすると、約14477%の効率上昇となる。1万数千%の効率向上となれば、これはまさしくイノベーションである。
しかも、これは生産方法の効率向上にとどまらない。製品のイノベーションであろうと、サービスのイノベーションであろうと、およそ「部分に分けられるもの」であればすべてこの論理が適用できる。そして、ノーベル経済学賞受賞者のハーバート・サイモンが喝破したように、人工物とは部分に分けられるという性質を必然的に持つため、すべての人工物のイノベーションに上記論理が当てはまるといってよいだろう。
では、そんなことが実際に可能なのか?実際の日本の自動車産業の複数社の事例を見てみよう。まず、日本の自動車産業では、小規模な改善活動数多くおこなう工場が当然ながら多数みられた。しかし、その中には、小規模な改善をおこなっているうちに、変種変量ラインという1ラインで5車種も6車種もの同時生産をおこなう新生産方式を開発した場合もあった。これは、一つの改善が次の問題を生むという「問題解決の連鎖」を引きおこすことができたために可能となっていた。
もう一つの例として、自動車のドアを作る工程で、これまで数人で数時間かかっていた作業が、無人で90秒で出来るようになったというものもある。しかもこれはせいぜい数千円~30万円以内の投資を繰り返したもので、総額でも100万円しないくらいの投資額で可能になった。まず、ちょっとした工夫で数百個まとめて運ぶ部品箱を使わなくてよくなった。そのため、その上に少しの変更をすることで、部品一つずつを定位置へ運搬することも可能となった。同じ位置に部品がくるため簡単な機械の導入で自動化ができるようになった、という3段階の連鎖関係が見てとれた。
さらに少しずつの変更を加え続け、今ではドアのプレス加工から組み付けまで一度も作業者の手を介する必要がなくなったため、上記の効果が得られた。こうしたことは、最初から計画していたわけではなく、大目標のもと改善をおこなっていたら、他の部分にも使えるということになり、さらに追加の改善活動をおこなっていたら結果として今のような姿になったと、工場長は回想する。
このように、「問題を部分に分け、ある部分の変化を前提に他の部分のより良い変化を考える」という細分化と掛け算の発想が、改善をイノベーションにして世界を一新するための必要条件である。しかも、これは仮想的なシミュレーションの世界で再現でき、一般的・抽象的な性格を持つために、製品イノベーションであろうと生産工程イノベーションであろうと同様に適用できる理論である。実は、そのために特殊な組織が必要であるという結果もここで取り上げた論文で明らかになっているが、それについては今後別の機会で紹介したい。
* Benchmarking: An International Journal、Evolutionary and Institutional Economics Review、『組織科学』に採録。
ランチを食べながらの「経営会議」がうまくいっている理由
数ヶ月前にふと思い立って、コンサル部門のトップ、私、私の部下、の3名でお昼ご飯を食べながら、カジュアルな雰囲気で経営課題を話し合って、できることはすぐ実行に移していく、というのを隔週でやっているのですが、これがとてもいい感じに機能してます。
別に難しいことはしていなくて、それぞれが考える「経営課題」を持ち寄って、自由に議論するだけ。ただ、「枠」を作らない、というのはポイントで、それぞれが本質的な課題だなと考える課題を話すこと、そして、すぐ「実行」につなげることを意識しています。
実際に具体的な成果も上がっていて、例を挙げると、組織の「動機づけ」を強める、採用のパイプを強化する、新領域のパートナーを作る、といった施策を、外部企業の力も借りながら進めていてうまく機能しています。
なぜうまくいっているかを考えてみると、まず言えるのは「場の設定」。社内の会議室でやっているんですが、好きなお昼ご飯を買ってきて話し合うので、なんだか楽しい雰囲気になります。また、アジェンダの決まった普段の典型的な「会議」と違うので、かしこまらずに、いつもと違う「頭」でアイディアを出す感じになります。
人間はどうしても「場」の空気に合わせて思考したり、発言したりするので、少ない人数でお昼ご飯を食べながら話をする、というのは実は大切な要素になってきます。
ただ、ランチを買ってきてミーティング、というのは良くある話で、別にそれだけではうまくいきません。そこで重要になるのは、参加者が「同じ方向を向いている」ということ。
「同じ方向を向いていない」人同士の話というのは、どうしてもその「すり合わせ」自体に手間がかかってしまう。結果として「本質的な」話になかなかたどり着かない。これはすごくムダです。
なので、参加者それぞれが経営の「あるべき姿」のイメージを持っていて、その「ベクトル」が合っているか、というのは、議論の効率を高めてくれるし、なにより課題の本質的な部分までまっすぐ「降りていく」ことを可能にしてくれます。
そして、さらに理想的なのはそこに「熱」があること。それぞれの持っている「こういう組織にしたい」「こんな事業を作りたい」という個人的な思いや情熱こそが大事なんだと最近改めて思います。
俗に言う「外資系」では、それぞれの仕事の役割は明確に「定義」されていて、その枠組をもとに求められる成果を出せるかがなにより重要です。
ただ、「デジタル」化が急速に進むいまのビジネスでは、決められた役割で成果を出すだけでは不十分で、その領域を越えたところ、もしくは他の領域との接点で、常に新しい価値を生み出すことが重要です。
そして、そういう価値創造を支えるエンジンが、個人の「情熱」なんだと思います。会社が決めたルールや仕組みに従うだけを良しとしない思いの強さ。
こういう「熱」を3人全員持っているから、このランチを食べながらの「経営会議」がうまくいっているのかなと思っています。
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全訳版!オランダの銀行INGの「アジャイル」な組織変革がスゴすぎます
オランダの金融機関INGが取り組んできたアジャイル型組織への変革について、LINE@登録者限定で全訳版を提供していましたが、とても参考になるのでここに公開!
なお、LINEでは今後も「限定記事」を提供していくので、ぜひ登録くださいませ!
https://line.me/R/ti/p/%40cca4743k
マッキンゼー: 「アジリティ」をどう定義しますか?
ING: アジリティとはまず「柔軟性」、そして新しい方向に向かってすばやく適応できる組織の力がポイントです。前例踏襲や官僚的な部分を避けて、みんなの力を引き出そうとするわけです。
また、能力が高くバランスの取れたプロフェッショナルを「育成する」という側面も重要です。「アジャイル」であること、は単にIT部門やその他いろいろな部門を「変える」というのに留まりません。大切なのは、End to Endで一貫した原理を持つ、マーケティング、プロダクト、そして営業の専門家、UXのデザイナー、データアナリスト、そしてITエンジニアといった多様な分野の人たちからなるチーム - Squadと我々は呼んでいます - を作ること、そしてそのチームが、顧客のニーズを解決することに注力し、共通の成功の定義のもとに力を合わせるのが大切です。
このモデルはハイテク企業のやり方を参照していて、それを我々のビジネスに合うように設計したんです。
マッキンゼー: 変革において最も重要な要素はなんでしたか?
ING: 振り返ってみると4つの大きな「柱」がありました。1つ目はアジャイルな働き方です。IT部門と事業サイドは同じオフィスにいて、Squadに属しながら顧客に提供するものを試行錯誤を繰り返しながら作り上げていきます。彼等がやっていることに介入してきてコラボレーションを妨げるようなマネージャーがいないのがポイントです。
2つ目は新しい役割とガバナンスモデルをうまく機能させるために、適切な構造を持った分かりやすい組織にすることです。たくさんの部門、ステアリング・コミッティー、プロジェクト・マネージャー、そしてディレクターがいるようでは、組織はサイロ化しますし、それが「アジリティ」を失わせます。
3つ目はDevOpsをきちんと活用することで、これは非常に重要な点です。とにかく新しいソフトウェアを「頻繁に」リリースできるようにしたかったんです。昔のように一年に5, 6回だけ「大規模リリース」するのでなく、2週間に1回リリースするような感じです。プロダクト開発とITオペレーションの統合によって、画期的な新サービスを作れましたし、そのおかげでオランダ第2位のモバイル銀行になれたと思っています。
最後は新しい人材モデルです。以前の組織では、マネージャーの肩書や給与は、彼等が責任を持つプロジェクトのサイズやメンバーの数で決まっていました。アジャイル型の業績管理モデルでは、そういった「プロジェクト」は存在しません。なので、組織の持つ「知見」を活用できているかが重要になります。異なるレイヤーの知識や専門性をうまく「組み合わせる」ことができているか、というのが変革の大きなポイントでした。
マッキンゼー: 変革のスコープはどんなものでしたか。どこから始めて、どれくらい時間がかかったのでしょうか。
ING: 最初はINGグループ本社の3,500人のスタッフを対象に考えました。マーケティング、プロダクト・マネジメント、チャネル・マネジメント、そしてIT開発といった部門から始めたんです。これは、まずは会社の「核」となるところからはじめて、その成功事例を他の組織に展開するのがいいと考えていたからです。.
一方で、HR、ファイナンス、リスク管理といった間接部門、支店、コールセンター、オペレーション、ITインフラといった部門はいったんTribeやSquadといったモデルに移行する対象から外しました。これは、彼等が「アジャイル」でない、ということでなくて、「アジリティ」を別のやり方で取り入れてもらいました。
例えば、オペレーション部門やコールセンターにはザッポスの事例を参考にして、「自律型」組織のモデルを導入しました。以前より大きな責任を持ってもらい、同時にマネジメントによる管理を減らしました。
他にも、営業部門や支店には毎日の「朝会」(stand-ups)などを通じて、「アジリティ」を高めてもらいました。
また、法務、ファイナンス、リスク管理は独立性が重要なため、Spuadの一員とはしませんでした。一方で、Squad側が、こうした部門に客観的なアドバイスなどを求める、という形で連携を図っています。
2014年の後半に戦略とビジョンを描いてから、新しい組織と働き方が本社全体で実装されるまでに、大体8-9ヶ月くらいかかりました。まずはビジョンを描いて、テクノロジー業界のリーダー達からインスピレーションを得るところから始めました。
2ヶ月を使って、オフサイトミーティングを5回実施し、この新しい「神経系」に基づく組織作りを進めました。同時に5-6個のSquadをパイロットとして走らせて、準備から実行、そして全体のデザインまで知見を集めました。結果として、適切な人を選んで配置したり、オフィスを改良したり、うまく「実装」に集中することができました。
マッキンゼー: IT関連部門におけるアジリティは、より広範な組織変革において前提となっていましたか?
ING: 必ずしも「前提」ではなかったですが、助けになったのは間違いないです。INGでは数年前からIT部門においてアジャイルな働き方を推進してきましたが、ビジネス側の部門を巻き込んでいなかったので、今のような「全社的」な動きにはなっていなかったんです。
ITからはじめて、それを徐々にビジネス側に広げていく。このやり方のいいところは、全社展開の前に、IT側のチームがまずそのコンセプトを試しながら開発を進められることですね。
もちろん、ビジネスとIT側で同時にはじめる、つまり一気に全社展開することもできるとは思います。どちらのやり方も可能です。
一方で、やってはいけないのは「いいとこ取り」しようとすることですね。そういう会社はすごく多いんですが…例えば、組織構造やガバナンスのモデルを「温存」したまま、方法論「だけ」アジャイルにしようとする、などのケースです。これをやってしまうと目的が曖昧になるし、そういうやり方にはみなストレスを感じてしまいます。
マッキンゼー: この変革において、INGが持っていた文化を変えていくことは、どれくらい重要な意味を持ちましたか?
ING: 「文化」は一連の変革において、最も重要な要素とさえ言えると思います。ただ、それは自然とうまくいくわけでない、というのがポイントです。我々も、アジャイルな文化に不可欠な、オーナーシップ、権限付与、顧客の重視といったことを浸透させるために、かなりの時間と労力を費やしてきました。組織としても、個人としても、あらゆるアクションにそういった「文化」が埋め込まれている必要があります。
例えば、重要なイニシアチブの一つに3週間のオンボーディング・プログラムがあります。これもZapposからヒントを得た施策で、全ての中途社員に、新しいCustomer Loyaltyチームのコールセンターで最低1週間、顧客からの電話に直接対応する経験をしてもらっています。
他にも、Googleを参考にして「ピア・ツー・ピア」型の採用モデルを導入しました。例えば、私の配下の14名は「同僚が」選んだんです。私は「拒否権」を持っていて、この人だけは厳しそう、となれば採用を拒否できます。ただ、組織のあらゆる階層でこのアプローチを採用して数千人を採用しましたが、この「拒否権」が使われたと聞いたことは一度もありません。うまく機能しているんですね。面白いのは、性別、性格、そしてスキルといった点で以前より「多様化」が進んだことです。結果として、以前よりバランスの取れた組織になったと思います。
これだけにとどまらず、コミュニケーションやオフィスのデザインにも新しいアプローチを採用しました。オフィスの壁を取り払って、たくさんのオープンスペースを作り、従業員間に「非公式」のやり取りがたくさん発生するように設計したんですよ。そして、「公式」のミーティングは一気に減らし、「非公式」なミーティングが「普通」になるようにしました。そのおかげで、組織の雰囲気は、人々が個室に閉じこもっている旧来の銀行というより、ハイテク企業のオフィスのようになっています。
マッキンゼー: 従来型のIT文化は変革の妨げになりましたか?
ING: IT部門において一番大きかったのは、エンジニアの文化を「取り戻した」ことですね。今ではエンジニアであること、コードが書けることにみな誇りを持っています。長い間IT部門では、マネージャーとして、コードを誰かに書かせて、それをきちんとマネジメントできることが成功と考えられていました。
けれど、カリフォルニアでのGoogle I/Oに参加してみて、本当に驚いたんです。そこでは若い人たちがテクノロジーについて生き生きと語っていて、Android、Google Mapなどのプロダクトの可能性を熱く議論していました。彼等からは、自分たちのエンジニアリングのスキルや成し遂げたことへの誇りを感じました。
そこで自分たちに問いかけたんです。「なぜINGにこういうエンジニア文化がないだろう?」「なぜオランダや西欧の大企業では、ITがただ使いこなす対象になってしまっていて、Googleのような"熱”がないのか?」と。そこで、みんながまたコードを書き始めるようにチームを盛り上げていきました。私も書き始めたんですよ。
エンジニアとしてのスキルを持ち、プロダクトを「作り上げられる」ことが、INGのキャリアにおける「成功モデル」なんだとメッセージしていきました。
マッキンゼー: 影響を受けた会社についてもう少し聞かせてもらえますか。
ING: INGは、金融サービス業界における「テクノロジー企業」であると、改めて自分たちを再定義しました。そして、トップクラスのテクノロジー企業になるために、何を学ぶべきかと考えたんです。で、それが学べるのは「本当の」ハイテク企業からで、他の銀行からではないなと。
若い優秀な人にどんな会社で働くのが夢ですか、と聞いたら、彼等の回答はいつもFacebook, Google, Netflix, Spotify, Uberといった会社ですよね。面白いのは、こういった企業はすべて業界が異なるし、目的も違うということです。ある会社はメディア企業であり、別の会社は検索エンジン、そして「輸送」に足場を置いた会社もある。
共通しているのは、その働き方だったり、魅力的な従業員文化です。共通の目的を持った小さなチームで働き、アジャイルを「マニフェスト」として顧客と親密な関係を築き、継続してやるべきことを「再定義」し続ける。
例えばSpotifyからは、組織における「サイロ」を越えてどうコラボレーションしていけばよいのか、についてインスピレーションをもらいました。「サイロ」は、既存企業にとっては依然として非常にやっかいな問題ですから。実際にスウェーデンまで行ってSpotifyを何度か訪問して、まず彼等のモデルを理解することに努めました。その結果、最初は「一方向」のやり取りだったのが、今では「双方向」になってきています。Spotifyから採用や報酬モデルなど成長する上でのチャレンジについて相談を貰うんですよ。
マッキンゼー: 従来型の人事制度から移行したときに、組織としてのまとまりをどうやって担保しましたか?
ING: 新しい組織モデルでは"Squad"が鍵になりました。それぞれのSquadは、まず自分たちの活動の目的を書き出すところから始めます。次に、顧客にとっての価値をどう「測る」か、また「毎日の活動」をどうマネジメントするか、を決めます。
SquadはTribeを構成する組織単位で、それをベースに、プロダクト・オーナー同士が同じ方向を向いて、そのチームで活き活きとして働けるように、「スクラム」や「portfolio wall planning」「スタンドアップ」といった手法を取り入れてきました。
もう一つ重要なのはQBR(Quaterly Business Review)で、これはGoogleとNetflixのやっていることを参考にしました。QBRでは、それぞれのTribeが前四半期に達成したこと、そこから学んだことをまとめ、成功と失敗をどちらも振り返り、次の四半期に何を達成したいかを決めるんです。そこでは、他のTribeやSquadとどう連携していくか、というのも重要な点です。
QBRの資料は全てのTribeに対して公開されていて、自由なフィードバックをくれるようにみんなを促しています。こうした透明性が銀行全体で当たり前になるように意識しています。今までに4回のQBRを実施していて、まだまだ改善の余地はありますが、少しずつでも良くしてければと考えています。
改革し始めた頃は、規制当局もアジャイルが過剰な自由やカオスを生むのではといつも心配していました。実際は全くそんなことはなくて、やっていることは全ては「毎日」チェックしているし、会社内の「壁」は取り払われていて、透明性は高いです。
マッキンゼー: レガシーのITシステムを残した既存企業が、INGがやったような「アジャイル変革」をうまくやることができると思いますか?
ING: 働き方と、どんな技術を使っているか、というのとは関係ないと思いますね。使っている技術や組織のサイズで、アジャイル的な働き方が適用できないとは言えないのではないかと。GoogleとINGの例が示しているのは、その変革に企業のサイズや使っているテクノロジーは関係ない、ということです。「リーダーシップ」と「決断」が鍵なんです。
マッキンゼー: アジャイルな仕事のやり方に「適した」人というのはいますか?
ING: 「正しい」人を選ぶ、というのはすごく重要ですね。今でもよく覚えているのは2015年の1月に、本社の「全て」の従業員が「Mobility」の対象になる、つまり全員クビになる、とアナウンスした時のことです。全員が新組織のポジションに改めて応募するよう促したんです。その選考プロセスはすごくタフなもので、知識や経験より、文化とマインドセットをすごく重視しました。
2,500名の従業員を選考し、全体の約40%は以前と違うポジションに就くことになりました。この過程で、知識は豊富だけれど、正しいマインドセットを持っていなかった人が会社を去りました。残念なことでしたが、本質をつかむ力があれば、知識はまた身につけることができるんです。
面白いのは、年齢というのがそれほど重要な要素でなかったということです。実際「保守的」と思われていた人が、若い人よりすばやく変化に対応した例はたくさんありました。柔軟性を持っているか、がとにかく重要なんです。
マッキンゼー: 過去15ヶ月の変革のインパクトをどう「定量化」しますか?
ING: 我々の目的は、より素早く市場に対応し、従業員のエンゲージメントを高め、変革を妨げる要素を減らすこと、そして最も重要だったのは「顧客体験」を高めることでした。こういった点についてはうまくやれていると思います。
さらに、ソフトウェアのリリースも、以前のような年に5-6回でなく、2-3週間に1回というペースでできていますし、顧客満足度や従業員のエンゲージメントといったスコアも、数ポイントの改善を示しています。また、国際的に有名なビジネススクールであるINSEADの力を借りて、客観的にその効果を測定するプロジェクトも進めています。
マッキンゼー: アジャイルモデルにリスクはありますか?
ING: 2つあると思っています。1つ目は、「アジリティ」を保って、ソフトウェアの開発に徹底的にフォーカスして、顧客が喜ぶものを出し続けること。この点でうまくやれないと、イノベーションは革新性のない「斬新的」なものになってしまいます。なので、常に「破壊的」なイノベーションが起こせるような体制を作っておくことが大事で、それは一つのチームでは成し遂げられないことです。
2つ目は、アジャイル的な進め方によって、プロダクト・オーナー達は「自分達で」エンドユーザーからフィードバックを得て、プロダクトをリリースごとに改善していけます。これは一方で、Squad同士が、3ヶ月もしくは半年ごとにうまく連携していないと、それぞれが違う方向に勝手に進んでしまうリスクを孕んでいます。これを避けるために、各チームがうまく連携して、会社の戦略上の優先順位を意識して前に進んでいけるよう注意する必要があります。
マッキンゼー: 同じアプローチの変革を狙う企業のリーダー達になにかアドバイスはありますか。
ING: どんな組織であっても「アジャイル」になることは可能です。ただ、それ自体が目的になってはダメで、もっと大きな目標に向けての手段である、という認識は重要です。まず自分に問いかけるべきは「なぜアジャイルなのか?そもそも何を達成したいのか?」ということです。みんなが納得する、分かりやすく説得力のある理由が必要なんです。変革を成功に導くには、全てのリーダーシップが一つになって、組織全体で前に進んでいく必要があるからです。
次に問いかけるべきは「何をあきらめるのか?」です。何かを犠牲にする必要があるし、いまの働き方の根本的な部分を捨てる場面が出てきます。我々の場合だと、組織のヒエラルキー、「公式」のミーティング、過剰なエンジニアリング、細かすぎる計画、多すぎるインプット(アウトプット)、非公式のネットワーク、などです。
重要なのは、業界の常識にとらわれないこと、たくさん失敗してそこから学ぶこと、です。それを続けることで、どんな挑戦にも立ち向かっていける組織になれると思います。
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無料でいいの?マッキンゼーによる「デジタル化の影響」レポートがとても役に立ちます
「デジタル化」の影響は幅広い産業に及ぶ。この記事では、金融、エネルギー、建設業などさまざまな産業において、デジタル化によって引き起こされる本質的な「変化」について、マッキンゼーが論じている論考をまとめてみた。
AIの活用事例
まずは各産業でのAI技術の具体的活用の方向性を「包括的に」まとめた非常に有用なレポートから。9つの産業での、400以上のAIの「活用事例」を分析・整理している。PDF36ページのレポートもダウンロード可能で、もちろん無料。
保険
金融はデジタル化の「主戦場」と言え、ビジネスモデル時代の変革も伴う大きな「波」が来ている。この論考は、保険業界について「エコシステム」の観点から、そのインパクトと起こりうることの方向性について論じている。
銀行
銀行もデジタル化の影響が大きい産業で、「既存」の銀行が事業をどうそこに対応させていくかが問われる。この論考では、6つの視点から、デジタル領域における銀行にとっての「事業機会」を整理している。
建設
「デジタル」とは縁遠そうな建設業において、プロジェクトのスケジューリング、安全性の確保、コストの最適化、といった建設業の抱える課題解決へのAI活用の可能性をまとめている。
エネルギー
日本でも仮想通貨が一気に有名になったが、その基盤技術である「ブロックチェーン」の産業応用は本丸。この論考では、その技術の「エネルギー産業」への応用の可能性を論じている。エネルギーのバリューチェーンごとに活用の方向性が示されており有益。
アパレル
アパレルの特に「調達」や「サプライチェーン」の観点から、世界の大手アパレル63社のCPO(Chief Purshasing Officer)に実施した、デジタル化の影響についての調査をもとにまとめられた論考。PDF40ページの調査レポートがダウンロード可能。当然無料です。
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IBMはもはや「ハイテクの巨人」ではない
IBMの2018年Q1の決算が発表になったが、粗利益率の低下や弱いガイダンスから株価は急落した。その結果を踏まえて、なぜIBMがこうなってしまっているのか、を簡潔に、そして手厳しくまとめた記事を翻訳してみた。特に、株主を優先しすぎたがゆえに投資にお金が回らず、結果的にそれが致命傷になった、というのはアメリカの伝統的大企業に共通の課題で、その点を明確にしているのは興味深いところ。
以下ブログ著者(とくさん)による翻訳
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株主と従業員に対する責任に「挟まれ」て、IBMは、クラウド市場で勝ち抜くために必要だった四半期ごとの10億ドル規模の投資をその初期に行えず、その代償をいま払っている。
私はIBMについては投資家に「警鐘」を鳴らし続けてきたが、他のアナリスト達は、IBMが4月17日に、予測より低い利益率、落胆すべきガイダンスを示したことでその課題に気づき始めたようだ。
IBMが、米国防総省の100億ドル(約1兆円)のクラウド投資の方針を変えさせることができなかったことは、「売り」推奨の大きな理由になる。国防総省の「お気に入り」はアマゾン(AWS)で、その契約はアマゾンの単独受注になりそうだ。
IBMの政府向け事業を統括するSam Gordyは、IBMがこの国防総省案件を取ることはできないし、今後もこのレベルの大型案件を受注することは難しいだろうと考えているようだ。
もはや「ハイテクの巨人」ではない
IBMはよく「ハイテクの巨人」と称されるが、実態はすでに異なる。
直近の決算は売上が191億ドル、純利益は17億ドル、 一株当たり利益は1.81ドルだった。これはマイクロソフトの先期実績の3分の2に過ぎない。マイクロソフトの時価総額は7420億ドルに、IBMの1370億ドルの5倍以上だ。
つまり、シンプルな話として、IBMは国防総省の案件を受注するには財務的余力に欠けている。そしてそれは10年前に「投資」より「株主」を優先したからだ。一方で、Facebook, Amazon, Microsoft, Apple, そしてAlphabetは徹底的に投資に注力した。そして、その結果として、IBMは「過去の」存在になってしまった。
もちろんIBMだけがこうした間違いを犯してしまったわけではない。AT&T, Verizon, HP, Oracleといった企業もクラウドに対しての投資より株主を優先してしまった。Oracleはいま、そこに追いつこうと必死に投資をしているが、それ以外のプレイヤーはすでに諦めムードだ。
「誇大広告」に騙されるな
クラウドのデータセンターに投資する代わりに、IBMはもう何年もプレスリリース「頼り」になってしまっている。そして、CEOのVirginia Romettyもこのやり方を前任者から踏襲している。ブロックチェーン、AI、そしてワトソン。どれも「誇大広告」の側面を持ってしまっている。本質的な問題は、それをキャッシュに変えていく投資余力に欠けていることなのに。
それはムーアの「第二」法則とでも呼べそうだ。「ムーアの法則」では、コンピュータ・チップは時間の経過とともに部品当たりコストが下がっていくとしている。そしてそれは、「生産」にかかる総コストは増大することを示唆している。クラウドはその意味でムーアの「第二」法則的な要素があり、まだ先が不確定な時にクラウドに思い切って投資した企業は、いま隆盛を誇っている。というのも、(国防総省のような)大きな顧客にサービスを提供するには、強固な財務基盤が求められるからだ。
IBMにとっての「底」
よって、PERは低いのでIBMを「押し目買い」すべき、という見解は的を得てない。
IBMは新しいクラウドの世界において戦うには「小さすぎる」のだ。
IBMを分割すべきだ、とは長く言われてきたし、私も昨年12月にそれに同意した。2015年には、私はIBMはRed Hatを買うべきだと主張していたし、CEOであるJim WhitehurstにIBMの変革をリードしてもらうべきだと考えていた。
その時であれば、Red Hatは「安い買い物」だった。Red Hatの時価総額は120億ドル、IBMは1500億ドルだった。いまRed Hatの時価総額は280億ドル、そしてIBMは1340億ドルだ。年を取ってしまった少女は「赤い帽子(Red Hat)」すら買う余裕がないのだ。
(強調訳者)
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身近なことへの「情熱」からはじめてみよう
最近良く言われるのは、仕事においても「情熱」が重要、ということ。
これは本当にそうで、AIなどの導入でホワイトカラーの業務の自動化が進むと、いかに他の人と「差別化」して付加価値を出せるかが重要になる。
そして、そのエンジンは、対象への情熱だろうと思う。何かにのめり込むことが知識やスキルの習得を早めるし、なにより仕事で必ず訪れる困難を乗り越える上で、強い情熱はそこで諦めずに自分を支えてくれる。
ただ、「情熱が全て」といってもピンと来ない人も多いだろう。そんな情熱を傾けるような「カッコ良い」仕事してないし、と。
でも、別にそんな誰もが羨むような仕事でなくても情熱って持てると思う。
そもそも、誰もが、クリエイティブだったり、事業開発だったり、起業だったり、世間の誰が見ても「カッコ良い」ことに夢中になるわけではない。無理して背伸びしてもそこにはどこか嘘が混じってくる。
例えば「部署の人に役立てることがなにより好き」とか。もしくは「あいつに負けたくない」みたいな嫉妬や競争心でもいい。もしくは「仕訳考えるの楽しい」みたいな身近なものでも。ポジティブでもネガティヴでも、まずは自分の心が自然に「動く」ことを頑張ると道が開けるのではないだろうか。
そういう自分の素直な感情や、身の回りのちょっとしたことから始めて、それを粘り強く継続していくことで、いつの間にか「広い」世界に出ていけることは結構ある。
私にとっても、キャリアのブレークスルーはコンサルタントのリソース管理を担当する間接部門で、「稼働率」の面白さに気づいた時だった。
現場からは、管理の象徴として嫌われがちな「稼働率」だけれど、それはコンサルティングビジネスの根幹となる指標で、そのデータを深いところまで理解することで、事業の構造やあるべき姿を思い描くことができるようになった。それは、経営陣と「経営」について議論し、意思決定する「道」に繋がり、結果として非常に貴重な経験を積むことができた。
次年度計画のプランニングにのめり込み、現場の人のフィードバックを得ながら、稼働率を始めとした経営指標が詰まったエクセルのモデルを朝から晩までいじり、あるべき姿を模索していたある晩。
エクセルの数字から、コンサルタントやエンジニア達の仕事にかける情熱や苦悩、喜怒哀楽の全てが伝わってくるような気がした。まるで「物語」のように。そして、この時感じた、現場の「思い」を経営の文脈でなんとか実現したい、というのが自分を前に進める原動力となった。
その時のことをいつも思い出しながら、目の前の「手に取れる」仕事に情熱を持つことで、それはきっと自分をより広く、深い世界に連れて行ってくれるのではと考えている。
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オランダの銀行INGの「アジャイル」な組織作りがとても面白い
オランダの金融機関INGが取り組んできたアジャイル型組織への変革が興味深いので、マッキンゼーによる彼等へのインタビューについて冒頭の部分を訳してみました。ぜひ読んでみてください。
マッキンゼー: 「アジリティ」をどう定義しますか?
ING: アジリティとはまず「柔軟性」、そして新しい方向に向かってすばやく適応できる組織の力がポイントです。前例踏襲や官僚的な部分を避けて、みんなの力を引き出そうとするわけです。
また、能力が高くバランスの取れたプロフェッショナルを「育成する」という側面も重要です。「アジャイル」であること、は単にIT部門やその他いろいろな部門を「変える」というのに留まりません。大切なのは、End to Endで一貫した原理を持つ、マーケティング、プロダクト、そして営業の専門家、UXのデザイナー、データアナリスト、そしてITエンジニアといった多様な分野の人たちからなるチーム - Squadと我々は呼んでいます - を作ること、そしてそのチームが、顧客のニーズを解決することに注力し、共通の成功の定義のもとに力を合わせるのが大切です。
このモデルはハイテク企業のやり方を参照していて、それを我々のビジネスに合うように設計したんです。
マッキンゼー: 変革において最も重要な要素はなんでしたか?
ING: 振り返ってみると4つの大きな「柱」がありました。1つ目はアジャイルな働き方です。IT部門と事業サイドは同じオフィスにいて、Squadに属しながら顧客に提供するものを試行錯誤を繰り返しながら作り上げていきます。彼等がやっていることに介入してきてコラボレーションを妨げるようなマネージャーがいないのがポイントです。
2つ目は新しい役割とガバナンスモデルをうまく機能させるために、適切な構造を持った分かりやすい組織にすることです。たくさんの部門、ステアリング・コミッティー、プロジェクト・マネージャー、そしてディレクターがいるようでは、組織はサイロ化しますし、それが「アジリティ」を失わせます。
3つ目はDevOpsをきちんと活用することで、これは非常に重要な点です。とにかく新しいソフトウェアを「頻繁に」リリースできるようにしたかったんです。昔のように一年に5, 6回だけ「大規模リリース」するのでなく、2週間に1回リリースするような感じです。プロダクト開発とITオペレーションの統合によって、画期的な新サービスを作れましたし、そのおかげでオランダ第2位のモバイル銀行になれたと思っています。
最後は新しい人材モデルです。以前の組織では、マネージャーの肩書や給与は、彼等が責任を持つプロジェクトのサイズやメンバーの数で決まっていました。アジャイル型の業績管理モデルでは、そういった「プロジェクト」は存在しません。なので、組織の持つ「知見」を活用できているかが重要になります。異なるレイヤーの知識や専門性をうまく「組み合わせる」ことができているか、というのが変革の大きなポイントでした。
マッキンゼー: 変革のスコープはどんなものでしたか。どこから始めて、どれくらい時間がかかったのでしょうか。
ING: 最初はINGグループ本社の3,500人のスタッフを対象に考えました。マーケティング、プロダクト・マネジメント、チャネル・マネジメント、そしてIT開発といった部門から始めたんです。これは、まずは会社の「核」となるところからはじめて、その成功事例を他の組織に展開するのがいいと考えていたからです。.
一方で、HR、ファイナンス、リスク管理といった間接部門、支店、コールセンター、オペレーション、ITインフラといった部門はいったんTribeやSquadといったモデルに移行する対象から外しました。これは、彼等が「アジャイル」でない、ということでなくて、「アジリティ」を別のやり方で取り入れてもらいました。
例えば、オペレーション部門やコールセンターにはザッポスの事例を参考にして、「自律型」組織のモデルを導入しました。以前より大きな責任を持ってもらい、同時にマネジメントによる管理を減らしたんです。
他にも、営業部門や支店には毎日の「朝会」(stand-ups)などを通じて、「アジリティ」を高めてもらいました。
また、法務、ファイナンス、リスク管理は独立性が重要なため、Spuadの一員とはしませんでした。一方で、Squad側が、こうした部門に客観的なアドバイスなどを求める、という形で連携を図っています。
2014年の後半に戦略とビジョンを描いてから、新しい組織と働き方が本社全体で実装されるまでに、大体8-9ヶ月くらいかかりました。まずはビジョンを描いて、テクノロジー業界のリーダー達からインスピレーションを得るところから始めたんです。
そして、2ヶ月を使って、オフサイトミーティングを5回実施し、この新しい「神経系」に基づく組織作りを進めました。同時に5-6個のSquadをパイロットとして走らせて、準備から実行、そして全体のデザインまで知見を集めました。結果として、適切な人を選んで配置したり、オフィスを改良したり、うまく「実装」に集中することができたと思います。
記事中でも触れられているザッポスについてはこちらもどうぞ。
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まだまだある!世界の名門大学オンライン修士まとめ
こちらの記事は思った以上に多くの人に読まれました。やはり世界の名門大学の正式な修士を「オンライン」で取れる、というのはインパクトがありますよね。この記事では他にもある有名大学のオンライン修士をどんどん紹介していきます(随時更新予定)。
イリノイ大学 会計学(Master of Science in Accounting)
前回の記事でデータサイエンス修士を紹介したイリノイ大学は、会計学修士も取得可能。同大学はUS Newsの会計のランキングで、学部2位、大学院3位と全米トップクラスで非常に有名。
対象
学部での専攻は問わず、既に会計領域において働いている、もしくはこれから働きたい人を対象
学費
$850/単位で合計約3万ドル(約315万円)
カリキュラム
16科目(各8週間)
授業科目や内容の詳細はこちらで
期間
18~36ヶ月
出願条件
- 米国で公式に認定された大学もしくはそれ同等の海外大学の学士
- ビジネス・マネジメント1科目および会計原理を少なくとも1科目履修済み
- 学部最後の2年のGPAが3.0以上を推奨
- GMAT or GREのスコア提出が必要。ただし、関連する領域で優れた実績を残している場合も免除も可。その場合最低3年の優れた業務実績の提示を求める。
- 英語のネイティブ・スピーカー以外は、TOEFLもしくはIELTSスコア提出が必要。TOEFL iBT 102 (厳しい!)、IELTS 6.5が足切りスコア。
https://grad.illinois.edu/admissions/instructions/04c
HEC Paris イノベーションと起業(Master's in Innovation and Entrepreneurship)
パリにあるHEC Parisの「イノベーションと起業」修士。HECはFinancial Timesの2017年欧州MBAランキングで2位と著名な学校。
対象
プロダクト・イノベーションや事業開発に興味がある人、起業を考えている人、そして既存の組織内で事業を「立ち上げたい」人などを対象
学費
2万ユーロ(約260万円)
カリキュラム
20科目
カテゴリーは以下の通り
- Scalling Up
- Creativity and Innovations
- Innovation and Entrepreneurial Strategy
- Interactive Courses
各授業の詳細はこちら。MBAと違って、起業や事業開発に特化しているので、実践的で特徴あるものが多くて面白そうです。
期間
10~16ヶ月
出願条件
- 学士
- 最低5年の仕事経験
- 英語力
シンプルですね、、
まだまだ紹介したいものがあるので随時足していきます。
特に、Computer Science修士のランキングで「全米1位」のUC Berkeleyのデータサイエンス修士は「ガチ」で、学費は6万ドル(600万円)以上で、入学条件も厳しく、在校生もAmazon, Google, Facebookといった超有名企業在籍者が並びます。詳細のまとめをお楽しみに!
Best Graduate Computer Science Programs & Top Graduate Computer Science Schools - US News Rankings
datascience@berkeley Class Profile
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3ヶ月で外国語を「15分」話せるようになる勉強法とは?
「外国語学習の科学」という本で紹介されている英語の勉強法をまとめたこの記事は多くの人に読んでもらえた。
同じ本で、外国語学習の興味深い事例が2つ紹介されているので今日はそれをご紹介。
文法は家で、教室ではインプットを
まずは著者が日本の公立高校の英語教師をしていた時の事例。ここで彼がベースにしたのは「ナチュラル・アプローチ」という手法。
彼が行った指導を整理すると以下のとおり。
- クラシェンの「文法は家庭学習にまわし、教室では理解可能なインプットを与える」という方針を応用
- 文法の授業を廃止して、文法は小冊子を自宅学習
- 授業は文法訳読をつかった精読と、内容理解中心の多読を併用。副読本も多読に活用。
- 精読、多読どちらの授業でも、本文を聞いたり読んだりしたあとに、内容理解チェックのTrue or Falseの問題を「英語で出して」正誤判断のタスクを日常的に与えた
この指導により1年で標準テストの偏差値が10上がる大きな成果に繋がっている。ここでのポイントは「インプット」で、質の高いインプットを「多量に」与え、それを内容理解チェックで補填しながら定着を図っていくところ。以下の記事にあるが、クラシェンは、子供が「第一言語を習得するような環境」で第二言語を学ぶことが効果的という理論を展開しており、この教授法はそれを実践して成果を出しているところが興味深い。
たった3ヶ月で15分会話できるように
次に紹介されているのが、インプット=インターアクションモデルに基づく事例。これは、カーネギーメロン大学の第二言語習得研究者の甲田慶子が開発した日本語プログラム。
ゼロからはじめた学生が、50分 x 週4回、3ヶ月で学期末には「15分間」会話ができるようになる、というもの。これは非常に興味深い。
- 授業の中心はその日に学んだ文法項目を使った学生どうしのインタビュー
- 自分やクラスメートの出身、趣味、家族など身近な話題についてお互いインタビュー
- インタビューで得た情報をメモして、宿題で自分やクラスメートについて書く
- このインタビューと合わせて各課ごとに、よく使われる構文・表現が多く入った会話を暗記
- 学期末試験で「実際に」15分の会話をさせ、それが成績の10%を占める
ここでポイントとなるのは、外国語学習では「限られた文法、単語を使って、限られた内容について」コミュニケーションをできるようになることが習得にとって重要という仮説。
このモデルはそこが意識されており、実際に「インタビュー」をすることで、この実践を行えるし、それをベースに各課で単語や構文を暗記していくことで、表現範囲がひろがっていく設計になっている。
これは、自分がアメリカで会話が「うまくなったな」と感じた経験と似通っている。オーストラリア育ちの台湾人と仲良くなり、彼の「分かりやすく癖の少ない」英語を聞き、その表現を自分なりに会話に入れ込んでいくのは、会話力を高めていく上で非常に役に立った。なので、言語習得には、自分が「手の届く」範囲のレベルでコミュニケーションを深めながら、そこから少しずつステップしていくのが良いというのは頷ける。
参考にしてみて下さい!
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サラリーマンだからこそ「正気でいられる」件について
サラリーマンのメリット
最近のネットは「個人の時代」というのが流行りで、起業したり、フリーランスとして「個人として」活躍することが称揚されがち。
この流れ自体は私も大賛成で、既存の組織を離れて起業したいと思う人、フリーでやりたいと思う人が増えることが日本の活力に繋がると信じている。
ただ、個人的には、自分はサラリーマンをやっているおかげで「正気を保てている」なとよく思う。私の場合は、仮に独立とかしたらすぐ「引きこもる」のは間違いないなと。
というのも、組織の中で、人の目があって、そこに責任が生じることでようやく「やらなくちゃ」と思えるから。あと、組織というのは人間関係など良い事も嫌な事も両方あるから、逆にそれが気持ちのバランスを取ってくれているとも感じる。
もし独立して、好きなことやっていい、誰にも怒られない、となったら間違いなく仕事はほどほどにして、一日中ツイッターして、眠くなったら昼寝して、やることなくなって飽きてきたら漫画読むと思うし、人と話す機会も減ってくるから感情のバランスもうまく保てなくなる気がする。
「本当の自分」なんてない
複数のペルソナを「演じる」ことができるのが組織で仕事するところのいいところだなと思っていて、私の場合だと、ひきこもりがちな部分の性格を中和とか相対化してくれている。なので、最近よく言われがちな、「本当の自分」に正直に仕事しよう、というのは気をつけないと危険だと思う。仕事と私生活の性格が違う、くらいがいいかなと。
というのも、そもそも「本当の自分」なんてないのかなと。人間の性格は単一でなくて、複雑なグラデーションになっているし、そもそも外部の環境に自分が「規定」されている、という側面も強い。
組織にサラリーマンとして属して、その環境にうまく適応させながら振る舞っていると、いつの間にかそれが「自分」になっているし、その役割を担う演者としてうまく「踊る」というのが自分は好きだし、それが人生を生き抜くコツになっている。
例えば、仕事していれば必ず「怒られる」ことがある。そこで、仕事と私生活で人格をうまく切り分けられてないと、それに本当に「傷ついて」しまう。そういう人は若い人には特に多くて、それはすごく危険だなと。
私も昔はうまく切り分けられなくて、怒られるたびに「本気で」傷ついていた。自分はなんてダメなんだろうと落ち込んで、そのまま仕事が手につかなくなるようなことが多かった。
でも「そうじゃないんだ、仕事で怒られたってそれは人格とは関係ない」というのを数年に渡る試行錯誤を経てなんとかできるようになって、キャリアも安定してきた。
なので、今悩んでいる、特に若い人には、職場でうまく「演じられる」ようになるといいよと伝えたいですね。サラリーマンも悪くないもんです。
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深センの「イノベーター」からジョブズの「講義」まで、無料で学べる動画10選
この記事で紹介したように、無料の「文書」はネットに多くあるが、同様に有益な「動画」もたくさんある。そこで、今回は経営やビジネスの「本質」に気づかせてくれる優れた動画を紹介したい。
革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう
いまはMITメディアラボの所長を務めるJoi Itoのこの動画は、インターネット時代の本質を改めて見事に表現している。特に、事業は「MBA主導からデザイナーやエンジニア主導に変わった」と述べ、深センの子供達が携帯を「アジャイル」的にどんどん作っていく事例を紹介しながら、次のメディアラボのトップは「深センから」、と「未来」に繋げていく何度見ても刺激される。
マックワールド 1997 ジョブズの「帰還」
これは、スティーブ・ジョブズが97年のマックワールドでアップルへの復帰とその戦略について語る動画。取締役会の刷新、アップルの強みの再認識、そしてマイクロソフトとの電撃的なパートナーシップ、など絞り込まれたシンプルな戦略とその「意味」のプレゼンテーションが見事。
ジョブズによるNeXTのマーケティング戦略「講義」
ジョブズ自身がホワイトボードを使ってNeXTのマーケティング戦略について説明している貴重な動画。商品説明のプレゼンテーションと同じで、分かりやすいロジックと人を引きつける語り口で、凡百のMBA授業より学びがある。
Googleのエリック・シュミットが語る成長の「秘密」
これも必見。How Google Worksの出版を踏まえて、著者のエリック・シュミットとジョナサン・ローゼンバーグが、あのマリッサ・メイヤーが聞き手として、Google成長の秘密を具体的に語る貴重な動画。二人がマリッサ・メイヤーをいじりながらリラックスして語る雰囲気もとても良い。
- 作者: エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル,ラリー・ペイジ
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ちなみにエリックシュミットの動画は論理的に考え、それを英語でどう表現するかの最高の教材。一時私もずっと見続けていた。彼がテクノロジーやマネジメントを語る時、必ずまず自分の中で論理構造や本質的な部分が吟味され、それを簡潔な言葉で適切に表現しようとしてるのがよくわかる。
「イノベーションのジレンマ」クリステンセンの「生講義」
「イノベーションのジレンマ」で有名な経営学者、クレイトン・クリステンセンによるオックスフォード大学のMBAでの「破壊的イノベーション」についての講義。朴訥とした語り口ながら、 一つ一つ重要な概念について紐解いていくスタイルが勉強になる。
ウォルマートCEOから学ぶプロのオペレーション
ウォルマートCEOのスタンフォードMBAでの対談。まさにオペレーションのプロという感じで、きわめて複雑なオペレーションが求められる世界一の小売業をグローバルに展開する上での経験や洞察を明晰に語っており、経営だけでなく、英語の勉強にも最適。
ハーバード・ビジネス・スクールの「ケース・メソッド」
ハーバード・ビジネス・スクールは「ケース・メソッド」で有名で、過去に実際にあったビジネスの「ケーススタディ」を使って講義する形を取る。これはその「紹介」動画で、教員と生徒それぞれが「真剣に」準備している様子が伺えて、これならば確かにうまく機能しそうだと思わせる。
元GE CEOジェフ・イメルトによる「大人」のプレゼンテーション
昨年退任したGEのジェフ・イメルトCEOによるインダストリアル・インターネットのプレゼン動画。感想はとにかく「うまい」。西海岸のスタイルと違う、「大人」のビジネスの語り口を学べる。
イーロン・マスクが語る未来の展望
最後に紹介するのはイーロン・マスクの動画。Space Xの達成してきたこと、未来の展望などをあの独特の「淡々とした」口調で語る動画。非常に面白い。「イノベーションに何が必要ですか」と聞かれて、まずはハードワーク、次に物理、アナロジーでなく原理から考えるんだよ、と語ってるのも面白いところ。
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上司とは「利用する」ものである
「上司と合わない」もしくは「上司から何かを学びたい」という人はすごく多いけれど、それよりは社内、社外問わず自分が「この人は凄い」と思う人を真似たり、鍛えてもらう方が良いかなと。つまり「師匠」を持つこと。かたや、上司は「選べない」んで、そこで悶々としてても不毛な結果になりがち。
というのも、上司って部下に対して、適切な業務をアサインすること、本当に困った時助けること、成果をきちんと評価すること、くらいしかできない気がしていて、メンタリング/コーチングといった、本来は心理学やカウンセリングなど専門的な知識や経験が必要なものまで過剰に期待されるの無理筋なんではと、色んなマネージャー見てきて最近思うんですよね。
まして、人の好き嫌いってもう第一印象とか相性みたいので決まっちゃう。例に漏れず、上司部下の関係も、こういってはなんだけれど相性が占める要素が強い。
だから、仕事でそういう「本能的」で「変え難い」部分で、上司との関係性に悩みすぎるにはもったいないのではと。仕事と割り切った領域、つまり「舞台」の「演者」同士どううまくやるかを考えるのが、上司部下でも大事と思う。
大切なのは「本質的な良い仕事」をすることで、上司との関係性に関わらず、会社の「外」でも通用する質を持った仕事をできるかが重要。で、そういう仕事していれば社内で「発見される」時は来るし、さらに社外で活躍の場も見つけられる。上司との関係に悩んでこういう機会を見失うのが一番の損失ですよね。
あと言えるのは、多くの人は上司や同僚の言うことって、本当の意味では「聞いてない」ことが多いとうこと。聞いてる、っていうのは、それを受けて日々の行動が変わることだから。なので、その人の思考をまるごと受け取って、そこに自らを近づけようとする「師弟関係」というのが重要になってくる。
逆にいうと、自ら誰かを「師匠」とできるかが重要で、それはつまり自分を相対化してくれる「他者」を自分に引き込むことができていることになる。実は多くの人はこのプロセスを踏むことができずに、庇護者になって欲しいという無用な期待を上司に抱きがちなのかなと。
つまり、部下にとって上司とは「利用する」もので、「師匠」こそが自分を成長させてくれると思う。上司は会社組織が「たまたま」決めただけなんで、上司部下とも互いに利用しあえばいいのかなと。もちろん上司が師匠になれば最高で、私もキャリアで一番自分が「伸びた」と言えるのは、心から尊敬できる師匠が上司だった2年間。彼の仕事から学んだことはすべて今でもはっきりと覚えているし、その記憶は自分のにとって最良のものです。
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統計学の教科書から起業マニュアルまで、すごい「無料」コンテンツ集めました
ネットには「無料」で貴重な情報がたくさんある。統計学の教科書から、戦略コンサルによる「変革」の指南書まで、様々なコンテンツをまとめてみた。
436ページの統計学の教科書が無償ダウンロード(PDF)可能。Openintroという米大学の教員などが「オープンソース」の試みとしてまとめた仕事で素晴らしい。編者の一人のミシガン大の教員によるCourseraの講座もある。
PDFファイルはこちら
戦略コンサルのBCGによる「変革」の指南書。167ページのPDFが無償でダウンロード可能で、Kindleファイルも提供されています。かなり包括的に整理されており非常に参考になります。トップコンサルファームのこういった資料も無料で提供されるというのは本当にいい時代です。
PDFファイルはこちら
Kindleファイルはこちら
セールスフォースの創業時からのメンバーを中心にまとめられたSaaS(Software as a Service)のスタートアップを作るための「指南書」。具体的で非常に有益。サブスクリプションモデルがなぜ画期的なのか、というビジネスモデルの説明からはじまり、売上10億円企業を作るための必要なステップ、成長のためにどう営業組織を作りあげていくか、などなど実例を踏まえながら具体的に説明されているし、カスタマーサクセス、というSaaSを特徴づける重要な概念についても触れている。
Vol.1のPDFファイルはこちら
Vol.2のPDFファイルはこちら
AI時代の「仕事の未来」についての調査および分析でPDF160ページ。無料でダウンロード可能。2030年に無くなる仕事と、価値が高い仕事。AI時代に向けて「経営観点」からの示唆を得るために非常に参考になる。
PDFファイルはこちら
Open Textbook Library - 様々な分野の教科書
「オープンソース」的試みで、会計やマーケティングなどのビジネス分野から、コンピューターサイエンス、経済学、法律、社会・人文科学など幅広い領域の教科書がやはり「無料」で提供されている。まずはざっと眺めて「土地勘」を掴むのに良さそう。
コンサルティング契約から、ソフトウェア開発、プロジェクト提案まで、さまざまな文書「テンプレート」がたくさん。すべて英文だけれど、文書に織り込む内容や構造、といった観点から眺めても学びがある。
経営学者の方に経営学の学び方を聞いた時に紹介されたのが、この東大の「赤門マネジメントレビュー」の経営学輪講。海外論文を読み込んで論点を整理した文章が並んでおり実務への示唆もある。全て無料でPDF提供されてるのもありがたい。
ぜひ活用くださいませ!!
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