グローバル経営の極北

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誰もが「自分」株式会社のオーナーである

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人生を、自分の労働力を「商品」とする「事業」と捉えて、自分はその「自分」株式会社のオーナーであると考える。これで人生に対する捉え方はだいぶ変わってくる。この考えを持てるようになってから、個人的には不毛な悩みを抱えることがだいぶ減った。

持ち家か賃貸か、サラリーマンか起業、フリーか、みたいな人生の選択は、事業と同じで単一の答えがあるわけではない。自分はどんな事業を推進したいのか、その時の事業環境はどうなのか。ビジネスを回す上で不可欠な検討を「人生」に持ち込むことで、過剰な思い込みで空回りしたり、逆に全てにシニカルになってしまうことを防いでくれると思う。

例えば、年収は売上、持ち家は資産、住宅ローンは負債と改めて認識すれば目が覚めるし、現金がどれだけ強くてキャッシュフローがいかに大事かも身にしみて分かる。

自分自身の人生が「事業」だから、例えば、サラリーマンか起業か、という話も2者択一でなくて、どの事業から「売上」をあげるか(収入を得るか)、という事業セグメントの話になってくる。繰り返すが自分は労働市場における「商品」である。なので、売上、つまり自分にとっての収入を最大化(最適化)する市場を探すことが最も重要なのであり、その手段としてサラリーマン、フリーランス、起業などからどれを選択するのは、「人生」というビジネスの事業戦略に拠る。

さらに、企業価値が「その企業から将来生み出されるキャッシュフロー」によって決まってくるように、人生という事業もこの観点から考えると色々整理される。Cash is Kingなのであり、毎月現金で安定的にキャッシュが入ってくること(=給与)はなにより事業の価値を高めてくれる。一方で、現在だけに拘泥していては将来のアップサイドは望めない。これもまた事業と同じように、現在は投資フェーズなのか刈り取りフェーズなのか、ときちんと考えて、教育などの投資を自分にも惜しみなく行わなければ、人生という事業は将来にわたってしぼんでいく。

また、自分の人生も経営と同じように、常にリソース(資源)制約があり、その制約のもとで意思決定をし続けなければならない。やたらと事業の多角化を図り、結果として稀少なリソースをうまく集中できずに事業を失速させてしまう起業家のように、人生においても色々な可能性を模索して結局どれも中途半端になる人は多い。限られたリソースのもとでいかに適切に意思決定するか。人生という事業でもこれが決定的に重要になってくる。

仕事でも疲れてるんだから、なんで人生をそんなビジネスみたいに捉えなくちゃならないのよ、と思うかもしれない。ただ、人生においては自分が「社長」として決断、実行できる。個人的にはこれほど面白いことはないといつも思っている。