グローバル経営の極北

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経営における「コミュ力」を考える

このツイートがかなりバズった。「コミュ障」という言葉を出したせいで、「死ね」みたいなリツイート貰ったり楽しいことになりましたが、そこは本意ではなく、、

もともとは、今の会社のシニアマネージャーのコミュニケーション力の高さとそのチーム運営が、最近関心を持っている「コミュニケーションの科学」や「チーミングの科学」を実証しているようで面白いと思って書いたのだった。

このHBRの論文にあるように、組織内および組織外といかに有機的な繋がり(コミュニケーション)が構築できるかが、組織全体の生産性に優位に影響する、というのは経営において非常に重要なポイントになってきているように思う。なぜ重要か。

1点目はメンバー間のコミュニケーションが深まると、それぞれの組織に対する関与(エンゲージメント)も深まり、結果さらに繋がりも強まっていき、組織全体のパフォーマンスを高めていく、という好循環がある点。バンカメのコールセンターの事例はまさにそれで、休憩時間のコミュニケーションが全体の生産性向上に繋がったというのは面白い。ツイートもしたけど、タバコ部屋というのはまさにこういった機能を持っていると言える。

2点目はデジタル化の進展と情報量の大幅な増大というトレンドへの対応の文脈。経営において、その膨大な情報にいかに意味を見出し活用していくかが鍵になるのは衆目の一致するところ。一方で、その膨大な情報が結局専門家しか読み解けない「タコツボ」的なものだったり、その情報が経営陣やマネージャー、そして現場にとって「使える」形として流通しないと、いくら情報に高度な分析を施しても経営の改善には繋がらない(この点は「マネーボール」を題材に記事を書いたので参照のほど)。

そこで、必要となってくるのが「コミュニケーション」の存在。特に対人コミュニケーションが鍵となる。「職場の人間科学」でも、対人コミュニケーションは、メールなど最近主流のデジタルのコミュニケーションに比べて効果が高いことが再三強調されている。膨大な情報を高度に分析・モデル化し、それを経営の意思決定に使う。これは自分が「知的」であると考える人にとっては理想だろうけれど、実際の経営はそれだけではうまくいかない。対人コミュニケーションによって、相手の表情や反応を見ながら、情報の持つ経営上の洞察を丁寧に紐解いていく。「マネーボール」でデータサイエンティストのピートが、それぞれの選手にデータの持つ意味を丁寧に説明し、どうプレイすべきかを示唆していたようなコミュニケーションが求められるのだと思う。

職場の人間科学

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マネーボール (字幕版)

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