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英語の「発音」が決定的に重要な理由

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発音のコンプレックス

日本の英語教育ではあまり発音が重要視されない。ただ、英語を実際に使って話す上では発音がきわめて重要になってくる。僕も、発音をきちんと学生時代に習得できていなかったがゆえに、とてもとても苦労してきた。

まず、この記事で書いたように、大学時代のアメリカへの交換留学での苦労。大学の英会話の授業ではそれなりに話せていたつもりだったが、実際アメリカに行ってみるとこちらの言うことが全く通じない。同級生のアメリカ人が、こちらが話をすると困惑したり、バカにしたような顔をするのを見るのはとてもしんどかった。

また、お店はさらにきつかった。特にサブウェイなどのサンドイッチ店は恐怖で、トマト、レタス、ピクルスなどなど、どれを発音しても"What?"と言われるのはしんどかった。なので、メンタルの弱い僕は"All(全部入り)"といって無意味に具の多いサンドイッチを食べざるを得なかった。。

留学の一年でなんとか会話力はあがり、発音の授業があったので発音も少しはまともになった。さらに新卒で入ったメーカーで欧米、アジア、中東と世界中の人と海外営業として仕事したことで、英語を話すことにはまったく物怖じしなくなった。一方で、発音への苦手意識は消えず、それはコンプレックス的なものとして残った。

なぜ発音が重要か

そもそも発音はなぜ大事なのだろうか?

まず言えるのは、ある言語の母音や子音が正しく発声されないと、聞き手(特にネイティブ)のストレスがとても高いこと。結果、上記した僕の留学時のように、こちらの話に耳を傾けてくれなくなる。

誤った発音がもたらすストレスについては、僕が上海駐在している時に具体的に体験できた。駐在先はIT開発のオフショア拠点。なので、数千人規模で日本語を話せる中国人がいた。その日本語レベルは当然様々だが、基礎の発音がきちんとしていない人の話を聞くのはかなりストレスが溜まった。

まず、端的に言って、何を言っているかわからない。もしくは、発音できていない音を含む文章が消える。なので、こちらで何を言おうとしているのかを補う必要が出てくる。これはとてもストレスだった。

でも、例えばインド人の英語ってどうなの?という人がいるかもしれない。

インド人の英語は確かに「訛り」が強い。けれど、「母国語」として英語の音声上の「肝」の部分はきちんと習得している。つまり、彼等の英語は、英米のネイティブからすると「方言」という形になるだろうと思う。

それに対して日本では、中高で正しい発音をきちんと学ぶ機会はほとんど無い。特に学習の初期で母音や子音の正しい発音を学ぶ機会がないので、我流(多くはカタカナ読み)の発音のままになっている人がとても多い。僕もまさにこうした「我流」の発音で苦労した一人だ。

ヘタクソな発音の弊害

でもでも、ブロークンでもとにかく話すことが大事じゃないの?と言う人もいるだろう。

それは一理ある。日本人はただでさえ「内気」な傾向の強い民族なので、その上に発音を気にし過ぎると、一層会話に入れなくなってしまうだろう。

ただ、発音や文法を無視した英語を話すことに慣れてしまうと、長期的には弊害が大きい。初級レベルでは許容される間違いも、実際に英語を使って「ガチンコ」で仕事する際には、上述した僕のオフショア開発拠点での経験のように、正しく言語を使いこなせない人が深い信頼を得るのは難しい。

例えば日本企業の本社と海外法人の関係、こちらが顧客の場合、など力関係によってはブロークンの英語でも許容される場合はあるが、そういった「日本人枠」に留まる限りなかなか国際的に深いレベルでの仕事には入り込んでいけない。

また、もう一つ重要な点は、正しい発音を覚えないとリスニング力があるレベル以上伸びなくなるということ。よく言われるように「正しく発音できない音は聞き取ることができない」。これは本当で、僕も発音の矯正を進めると、今まできちんと聞こえなかった母音や子音がクリアに聞こえるようになった。

ではどう勉強するか

以上だいぶ長くなったけど、最後に僕がどんな勉強をしてきたかをまとめたい。

まず、5年ほど前に発音矯正の「ジングルズ」に1年ほど通っていた。校長はかなり癖のある人だけれど、方法論はきちんと体系化されているし、使われるテキストの内容も段階的に英語の「肝」となる発音を一つ一つ繰り返し学べるようによく構成されていた。講師はジングルズを通じて発音矯正した「日本人」で、よく訓練されているし、日本人がどうやって発音を矯正できるか、というのを実地で体験してきた人達なので、ネイティブに学ぶよりも効果的だろうと思う。個人的には、SやTといった子音の重要性を徹底的に叩き込んでくれたことに感謝している。ここで学んだおかげで、それ以降ネイティブがこれらの子音を強く発音していることに気づくことができた。

次にスマートフォンのアプリでかなり有名なReal英会話。このアプリでは、ネイティブによく使われる表現をiPhoneのマイクを使ってしゃべると、その発音が正しいかどうか判定してくれる「発音練習」という機能がある。これはとても良い。選ばれている表現はどれも日常でよく使うこなれたものだし、その場で発音が正しいか判定してくれるのはありがたい。

次にスマートフォンの音声入力機能(僕はiPhoneを使っている)も有効。メモ帳を開いて、音声入力でなにか英語をしゃべると、その発音に応じて英語の文章がメモ帳に表示されるので、自分の発音が正しければ正しい英語の文章が表示される。これを使うと、自分がどの音に弱点があるかをすぐ確かめられる。さらに、iPhoneの「ボイスメモ」もよく使う。僕は、本社とのレビューの前などに、話そうとしている内容を録音して、発音だけでなく使っている表現が変でないかを確かめたりしている。これもとても効果的。

発音に関する本はたくさんあるけど、この「超低速メソッド」と謳った本は結構よかった。母音および子音それぞれについて一つ一つ学んでいけるので、ジングルズで学んだことを改めて整理する上で役立った。

超低速メソッド英語発音トレーニング (CDブック)

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 英語の勉強に終わりはない。特に最初の基礎でつまづくと後々取り戻すのは本当に大変。悔しいなあと思いつつ、今日もコツコツ勉強するのだった。今後もそうした僕の経験について書いていこうと思う。