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レビューも見ずに転職するの?

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レストランを探すときに食べログをはじめとしたレビューサイトを確認するのは既に日常になっているが、VorkersGlassdoorといった従業員レビューのサイトも転職においてかなり「使える」ものになってきている。

転職の難しさは、事前に得られる情報が限定的であることだった。入社前に会うことのできる社員は、基本的に面接官に限られる。事前に所属部門の社員に会うことも可能な場合は多いが、そこから得られる情報はどうしても表層的なものになる。給与モデル、昇進の仕組み、社風など事前に確認しておきたい情報はなかなか得られなかった。

こういった情報の非対称を緩和してくれるのが従業員レビューサイトになる。レビューは、第三者でなくて従業員本人が書き込む。そのことによって、第三者の視点や思惑がノイズとして入り込むことを防ぎ、実態に近い情報を得ることが可能になる。

もちろん限界はある。レビューはあくまで一部の人の主観に過ぎない、とか、悪意のある人が偽装して誤った情報を書き込む可能性がある、といった批判はもっともだ。一方で、食べログと同様に一定数以上のレビューが揃えばそこには必ず「傾向」がうまれる。その傾向を自分で分析、解釈して意思決定できるかがポイントになってくる。

例えば、レストラン選びもいくつかの成功と失敗を繰り返し、経験を積んでいけば細かく食べログのレビューを読まなくても、総合点や写真の雰囲気だけさらっと確認するだけで良し悪しをある程度判定できたりする。それは自分の好みや評価軸が経験の積み重ねによって養われてくるからと言える。

会社選びも同じで、まずはレビューサイトの情報をきちんと読み込んで、そこから浮かび上がってくる傾向をつかんだり、実際転職で苦い思いしたり、といった経験を積み重ねることによって、自分なりの評価軸が作られてくる。

さらに大事なのは、レビューの「傾向」がビジネスモデルや経営の仕組みという「構造」からきていることを理解できるかという点。例えば、中核事業の利益率が高ければ当然給与や各種福利厚生は期待できるし、逆に成熟している、もしくは、利益率が低い事業が中心ならば、当然従業員の待遇に期待することは難しくなる。

例えば僕が担当しているコンサルティング事業。このビジネスの原価の大半は労務費、つまりコンサルタントに支払う給与やインセンティブの支払いが大半を占める。が故に、ビジネス環境が悪化し稼働率が低下すれば、給与や人の削減といったネガティブな施策を打たざるを得ない。

こうした事業の「構造」を踏まえたうえで、各レビューの意味するところをうまく咀嚼できるならば、転職においてこうしたレビューサイトは大きな助けになるだろう。