グローバル経営の極北

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留学生から敬遠される日本企業

「外国人からは「役割や仕事内容が不透明」「能力や成果に応じた人事評価が不十分」「長時間労働」などの声があるという。学生からは「日本の就職活動の仕組みが独特で分からない」との不満も指摘さされた」

最近では、グローバル化の必要性を強調しない日本企業の経営者はいないくらいだが、上記の記事が示すように、外国人を雇用する仕組みづくりはなかなか進んでいない(そもそも、この「外国人」を雇用する、という考え自体が特殊なのではあるが、、)。

この記事で外国人留学生が正しく指摘しているように、終身雇用と年功賃金、ジェネラリストの育成、といった「日本的経営」を形作ってきた制度や慣習は依然として多くの日本企業で残っている。

これらの仕組みは、もちろん合理性もあるし、メリットもある。特に日本企業が戦後復興から驚異的な勢いで成長していた時期には見事に機能したと言えるだろう。しかし、忘れてならないのは当時の成長企業の中核メンバーは30代が主であったこと。雇用の不安がなくて、役割問わず何でもできて、しかもそれが会社の成長として成果が出てくるのであれば、特に若い世代は士気が上がる。

一方で今や日本の大企業の平均年齢は40歳を越えるのが普通で、中核事業の売上成長率はよくて一桁前半、下がる場合も多い。この事業環境で、今の制度を維持するのは非合理なことが多くなってきている。上にあげたように、優秀な海外の人材を獲得しにくい、というのはわかりやすい弊害の一つだろう。

経営の工夫としては、日本を一つの「地域」にしてしまう、というやり方はある。例えば、各地域をグローバルの統括会社にぶら下げるような形にして、日本は地域の特性を踏まえた制度設計で運営する。特定の地域に偏った制度設計はグローバル企業の一般的な成功方程式とは異なるけれど、現実的にはまずはこのやり方なのかなとは思っている。国内と海外事業を切り分けたソフトバンクや、海外統括本社を作っているJTなどの事例が参考になるだろう。