「ワトソン不振」は「イノベーションのジレンマ」の観点から捉えておきたい
この記事に対して「ワトソンとAWSを比較するのは適切でないのでは」というコメントを幾つか頂いたので、それに対しての見解をツイートしました。まとめておきます。
この記事でAWSと事業のタイプ違うので適切な比較ではないのではとの意見がありました。ポイントは、IBMはコアの事業をAWSに攻め入られる典型的「イノベーションのジレンマ」に陥っており、ワトソンがその穴を埋められるのかが論点です。 https://t.co/Sw7H73USgA
— とくさん (@nori76) 2017年9月18日
売上規模が8兆円規模と巨大でインフラにひもづく事業がここ数年減収し続けているので、ワトソンはじめとした「戦略事業」で事業ポートフォリオを変えていくには、AWSのような+30-50%の増収が必要なわけです。それがうまくいっていないので、21四半期連続の減収になっている。
— とくさん (@nori76) 2017年9月18日
ワトソンがSaaSのサプリクションによるビジネスモデルならば、その雄であるセールスフォースが+30-50%の増収を続けてようやく一兆円の売上。これでもダントツで、1000億円に達する企業はまれ。ワトソンはコンサルやSI伴うと思いますがそこに比重かけすぎると顧客が嫌う。
— とくさん (@nori76) 2017年9月18日
もちろんワトソンだけで事業ポートフォリオ変換を達成するわけではないですが、もう1つのコアであるクラウドはIaaSの部分でAWSに加えて、マイクロソフトとグーグルが本気になっているので、IBMは非常に苦しいです。
— とくさん (@nori76) 2017年9月18日
日本だとイノベーションのジレンマという概念があまり本気で意識されないけれど、米企業は四半期ごとの投資家からのプレッシャーが半端なく強く、事業構造変革は常に待った無し。IBMは「戦略事業」の成長ストーリーで株価が一旦180ドルまで上がったけど、その期待が失望に変わりつつあります。
— とくさん (@nori76) 2017年9月18日
IBMが直面している状況と、それに対して進めている事業構造変革の動きは、「イノベーションのジレンマ」に大企業はどう対応すべきか、という論点について学びの多い事例です。今後も定期的に触れていきたいと思います。