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「科学」に裏付けされた英語勉強法をご紹介

語学習得の道のりは果てしなく長い。第二言語習得の理論を網羅的に分かりやすく説明している「外国語学習の科学」から、そこで紹介されている勉強法をまとめておく。どれもどこかで聞いたことある基本的なものが多いが、それが「理論」に裏付けされている、というところがポイント。

外国語学習の科学?第二言語習得論とは何か (岩波新書)

外国語学習の科学?第二言語習得論とは何か (岩波新書)

 

分野をしぼってインプット

インプットのポイントは背景知識を知っていて理解できることなので、自分の専門分野(例 ビジネス)や興味のある分野(例 音楽や映画)について、「徹底的に読んだり、聞いたり」することが推奨されている。

知っている分野であれば推測もできるので、それによって新しい単語も習得できる。さらに興味がある分野は動機づけが高まるので長続きする。

リスニングは20%しかわからないものより、80%以上わかるものを何度も聞いたほうが効果がある。わからないものを聞いても効果が低いのがポイント。

2カ国語放送などの場合は、まず外国語で聞き、次に日本語、最後に外国で聞くのも効果的。

リスニングはスクリプトを用意し、聞き取れないことを文字で確認し、もう一度聞くのが良い。聞く時は単語・意味を追いかけるのがやっとでも、読むことで文法構造まで理解できるし、再度リスニングすることで文法理解も深まる。

ほとんどわからないものも、聞くだけでもそれなりに意味はある。音声情報自体は脳が処理しているので、外国語のリズムに慣れる効果はある。

 

例文暗記はやはり大切

外国語教授法のトレンドは「コミュニカティブ・アプローチ」という、言語の本質は創造的で、単語と文法の組み合わせで「無限」の文を作れる、というもの。しかし、実際は日常言語のかなりの部分は「決まり文句」で構成されているとの研究もあり、言語習得に暗記は不可欠。

そこで、よく使う表現、例文、ダイアローグを暗記するのが効果的。単文暗記だと、どうやって表現が使われるかの社会言語的能力がつかないのでダイアローグの方がよい。

 

毎日欠かさずアウトプット

アウトプットは毎日少しずつでもやる。インプットだけでは不十分。日記をつける、独り言を録音する、ネットのチャット、など。インプット教材を聞いた後にコメントを外国語でしてみるのも効果的。

アウトプット時には発音の正確さ、流暢さに注意することも重要。通じさえすればいい、というのは好ましくない。長期的に「ブロークン」英語が固定化するリスク。

 

コミュニケーション・ストラテジーを使う

「コミュニケーション・ストラテジー」とは外国語で、単語が思い出せない、なんと言えばいいかわからないといった時に、うまく「対処する」ための戦略のこと。

まずは「時間稼ぎ」。well...um..., you know...Let's seeといった言葉の活用で、言いたいことがでてこない時にうまく「時間稼ぎ」できる。

次に「パラフレーズ」。「ごみばこ」のtrash canがわからなくても、the box in which you throw things away、のように説明することができる。

 

無意味学習と有意味学習の違いを理解する

 外国語の単語を覚えるのは難しい。これは本=bookのように、お互いに何の繋がりもないから。こうしたものを「無意味学習」と言う。

年をとるにつれて特にこの「無意味学習」での記憶力が落ちてくる。よって、自分の持っている知識構造と関連づけて覚える「有意味学習」の必要がある。

「有意味学習」するには語呂合わせや絵を使った暗記は有効。さらに、単語を文脈の中で覚えることも効果的。I went to a zoo and saw a hippopotamus、という文でhippopotamus(カバ)を知らなくてもzoo(動物園)と関連づけて、動物園にいる動物、という文脈を付与する、など。

 

発声・音声は真似るのが大事

発音のよさを決める要素は「学習開始年齢」「外国語環境滞在期間」「性別(女性の方が良い)」「模倣能力」「発音の正確さに対する興味」「どれくらい外国語を使っているか」など。

一番コントロールしやすいのは「発音の正確さに対する興味」。よって、好きな俳優、などモデルとなる対象を選んで、その人と同じように話せるように、リピーティングやシャドーイングするのがよい。

また、リピーティングやシャドーイングは「模倣能力」を高める上で効果があると考えられる。

大人の学習者の場合、「完璧な発音」を身につけるのはほぼ無理、ということを理解して、完璧を目指しすぎないことも重要。

ネイティブにとってわかりやすく、不快に感じない発音という観点では、イントネーションやリズムの方が個々の音の発音より重要、という研究が大勢を占めているというのも重要なポイント。「特徴をまねる」ことが大切。

 

動機づけを高める

動機づけは学習にとってきわめて重要。授業をとる、仲間と一緒に勉強する、好きな内容の教材を使う、資格試験を受験する、外国語でブログを書く、など自分に合った、動機を高めてくれる工夫が重要。

また、学習している言語の文化に興味を持つこともポイント。興味がわくことで、内容について詳しくなり、その結果インプットの理解が高まり、それが動機づけを高まる、という好循環が期待できる。

 

優れた外国語学習者の特質

優れた外国語学習者の特質は「言語形式に注意する」「コミュニケーションを重視して言語を使おうとする」「学習活動に積極的に関わる」「学習プロセスを意識している」「学習ストラテジーを必要に応じて柔軟に使う」など。これらを意識して学習することで効果が高まる。

 

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