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仕事とは「不安」との戦い: どうコントロールしたらよいのか?

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仕事をさまたげる「不安」

私自身もそうなのだけれど、いろいろな人の仕事振りを見ていると、仕事が進まない理由は多くが「未知なことへの恐れや不安」であることに気づく。

どこから手をつければいいんだろう、うまく終わらせられるだろうか、怒られたくない、あの人と話したくない、などなど。こういう心理的障害をうまく自分の中でコントロールできるかは仕事の成果を決める要素だったりする。

一方で、不安をうまくさばく、というのは、口で言うのは簡単だけれど実はとても難しい。

「不安」とどうつきあうか?

TEDで有名になり、日本でもその著作が話題となった健康心理学者のケリー・マクゴニガルのこのインタビューは、その点について示唆を与えてくれる。

ここで彼女が述べていて面白いのは、不安というのは「先に存在していて」、「なぜか」というのは後付けである、ということ。つまり、脳というのはそもそも「不安感を持つというのが習性」と彼女は述べる。

しかし、多くの人は自分が「なぜ不安を感じているんだろう、きっと理由があるはずだ」と、不安それ自体に意味付けを行おうとし、結果的にそれが不安を「増幅」してしまう。

彼女はそれを青空に浮かぶ雲で例える。

「不安というのはよく晴れた青空に、ぽっかりと浮かんでいる白い雲のようなものだ」ということです。その雲は、雨雲でも雷雲でもなく、青空をゆっくりと過ぎ去っていくただの白い雲なのです。ところが、その雲ばかりに注意を向けてしまうと、雲ばかりが気になって「この雲はなんだろう?嵐の前触れなのではないか?」と考え始めてしまうのです。

私は以前はまさにここで挙げられたようなタイプで、湧き上がる不安に次から次と解釈や意味付けを行ない、結果的に不安を増殖させてそれが物事を前にすすめる気力を奪う、ということが本当によくあった。

例えば、私の若い頃は、海外出張があるといつも行く前に急に大きな不安が襲ってくることがよくあった。ただ、見知らぬ土地に仕事に行くのだから、そこで「不安」を感じるのは自然なこと。

しかし、私は「こんなに不安ということは、きちんとした商談資料を出張前までに準備できないんではないだろうか」「こんなレベル資料を持っていったら顧客に呆れられてしまう。だからこんなに不安なんだ」など、まさに上に述べたように、不安に次から次と「意味付け」することで、さらに不安を増幅させてしまうことがよくあった。

「不安」を手なづけるスキル

私に限らず、こうした不安の「負の循環」でなかなか仕事に集中できず、結果的に成果が出せない人は想像以上に多い。

難しいのは、こうした心の動きというのは、外からはなかなかうかがい知れないということ。例えば、親身になって部下を指導したいとマネージャーが思っていても、部下が抱えているこの「不安の構造」というのはなかなか紐解くことが難しい。

なので、不安にうまく対処しながら成果を出すために「努力」できる、というのはそれ自体が高度なスキルなのだ。私もこれをうまく身につけるまでかなり苦労した。その経験については一度まとめたいと思っていたので、それはまた別記事で整理したい。

 

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