「スゴい」CEOの3つの特徴とは?-マッキンゼーによる600名超のCEO調査より
マッキンゼー・クォータリーの今年の人気記事で第二位になっていたこの記事。2004年から2014年の期間に在任した、S&P500企業のCEO600名超をマッキンゼーが調査し、傑出した業績を挙げた「スゴい」CEOの特徴を3つにまとめている。
なお、この調査では「スゴい」CEOを、在任期間中に株主へのリターンを+500%以上に高めたCEO、と定義している。
外部からの登用
1つ目の特徴は「外部登用」。以下のグラフが示すように、「スゴい」CEOのうち45%は「社外からの登用」だった。それ以外のCEOグループでは22%が外部登用で、78%と大半は「内部昇進」だった。
ここから著者は、外部登用者は、今までの会社の「しきたり」や「慣習」にとらわれない、新しい考え方を組織に持ち込める点でメリットがあるとまとめており、これは頷ける視点。
戦略的なアクション
2つ目の特徴は、戦略的なアクションの重要性。就任後2年以内に「戦略レビュー」を実施した比率は、「スゴい」CEOグループで、調査全体の平均より58%も多かった。
これは外資系にいると頷けるところがあって、CEOでなくても、私が見てきた優れた事業責任者は、就任後まずできる限り多くの人に会って、数字を徹底的に読み込んで、そこからできあがってくる方向性の素案を社内外の専門家とディスカッションし、最終的に戦略的な方向性が明確な幾つかの指針を出していた。
この論考でも指摘されているが、こうした「戦略レビュー」を実施するには、多くのリソースを割く必要があるし、コスト削減などと比べて即効性があるか確信できない部分もある。
その意味で、まず戦略についてきちんと考えられるところから始められるCEOというのは、それだけの胆力と経験を持っていると言えよう。
組織をいじりすぎない
3つ目の特徴は、「イケてる」CEOは意外にも組織を「いじっていない」ということ。上に挙げたものと同じグラフでわかるように、組織の再デザイン(Organizational Redesign)に手を付けた比率は、全体と比べて48%も低い。
本論考の著者の仮説としては、「イケてる」CEOの会社は組織をいじるほど低業績に喘いでいなかったこと、次に「イケてる」CEOは外部登用が多く、まず戦略の立案からスタートしているため、その体制が整ってから組織に手を付けていったのでは、という優先順位の点、の2つを挙げている。
これも私の経験からは頷けるところがあって、優れた事業責任者が外部から登用された時は、まず「色眼鏡」無しに様々な人の話を公平に聞いて、その上で判断する傾向がある。その上で、明らかに組織の「癌」となっている人はすぐ外されたりすることもあるけれど、基本的には現有の戦力のポテンシャルを信じて、正しい「方向づけ」をすることで実績をあげようとする人が多い。
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