グローバル経営の極北

グローバル経営を考える「素材」を提供します

「ムーアの法則」後はどうなるか?- エコノミスト「コンピューティングの未来」

今週のエコノミストの巻頭記事は「コンピューティングの未来」について。いま起きている変化について簡潔にまとめられている。 ポイントはムーアの法則がいよいよあてはまらなくなってきたかも、という点。今後も演算能力の拡大は続くけれど、今までのような…

保育園問題をコンサル経営の視点から考える

こんな記事が話題になっていた。 自治体が株式会社の参入を渋る、という構図自体は大きな課題だが、コンサル事業の経営を見ている身からすると、保育事業は民間事業者の参入を促しても構造的に難しい側面を抱えているのではないかと感じている。 保育園の収…

レビューも見ずに転職するの?

レストランを探すときに食べログをはじめとしたレビューサイトを確認するのは既に日常になっているが、VorkersやGlassdoorといった従業員レビューのサイトも転職においてかなり「使える」ものになってきている。 転職の難しさは、事前に得られる情報が限定的…

データが導く新しい「人事」の姿

いま僕が在籍している米企業では毎年従業員サーベイを実施している。最近その結果を見ることができたのだけれど、とても興味深かった。外部ベンダーのクラウドのソフトウェアを使って、エンゲージメントの深さ、マネジメントの巧拙、企業戦略の周知、オフィ…

意思決定することは「仕事」です

この記事(なぜグローバル企業の経営陣は「定時退社」するのか?)はありがたいことに多くの人に読んでもらっており、PVは60,000を越えて、Facebookのシェアも5716までいった。 この記事で言いたかったことの一つが、「意思決定は仕事である」ということ。前…

海外事業のマネジメントに苦しむ日本企業

楽天が最新の決算で電子書籍のKoboをはじめとした海外事業の減損を行ったことが話題になっていた。 ネットでは、海外事業の苦戦を「英語公用語」化と結びつけて揶揄する人も多くいたけれど、当然ながらそれは本質的な部分ではない。 僕は楽天の事業領域には…

英語の「発音」が決定的に重要な理由

発音のコンプレックス 日本の英語教育ではあまり発音が重要視されない。ただ、英語を実際に使って話す上では発音がきわめて重要になってくる。僕も、発音をきちんと学生時代に習得できていなかったがゆえに、とてもとても苦労してきた。 まず、この記事で書…

「決められない」シャープの迷走を笑えない理由

シャープの経営が迷走している。産業革新機構による支援でほぼ決まりとなっていた状況から、鴻海が7,000億円と機構案を大きく上回る金額を提示し、一点鴻海案が有力と噂されている。こうした事態に対して多くの人がシャープの経営の「稚拙」さを指摘(揶揄)…

今週のおすすめ本 - 2/7-14 「企業価値経営」「我が逃走」他

まだ一週間遅れですが、、2/7-14のおすすめ本です。 企業価値経営 作者: マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,リチャード・ドッブス,ビル・ヒューイット,本田桂子,鈴木一功 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2012/08/31 メディア: 単行…

リーダーシップとはなにかを教えてくれた部下のRさんのこと

僕がマネージャーとしてまだまだ未熟だった頃、人事担当役員からこんな言葉をもらった。 「私はメンバーを自分の子供だと思ってるのよ」 その役員は非常にアグレッシブで、推進力のある人だったので、この言葉を聞いて意外な印象を持った。そして正直「子供…

ぼくの就活について '00年ロッキング・オン社新卒採用応募書類

ありがたいことに多くの方にブログを読んで頂いていて嬉しい限り。少し箸休め的に僕の就活について。 巡り巡っていまはIT産業で働いているけれど、僕の就活の時の第一希望は出版社だった。その中でも第一希望だったのがロッキング・オン社。洋楽人気も落ち込…

アメリカのウォルマートで「虫けら」扱いされた留学時代のこと

その是非については色んな議論があるけれど、海外留学や海外長期滞在は若い頃に経験しておいたほうがいいと個人的には思う。なぜなら、自分の考えや地位は相対的なものに過ぎないんだ、というのを「骨身に沁みて」理解できるから。この体験は一つの国だけに…

なぜグローバル企業の経営陣は「定時退社」するのか? 

グローバル企業の経営陣の退社は早い。突発的な事態がなければ、定時の6時にはまず帰る。なので、遅い時間にミーティングが入ったりすると、露骨に不機嫌になったりする。これはなぜだろうか? 意思決定の質が落ちてしまう 一番大きな理由は、コンディション…

今週のおすすめ本 - 1/30~2/6 「132億円集めたビジネスプラン」「職場の人間科学」他

1/30~2/6にツイッターで紹介した本のまとめです。経営者本多めですが、やはりどれも面白いです。 132億円集めたビジネスプラン 熱意とロジックをいかに伝えるか 作者: 岩瀬大輔 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2011/11/25 メディア: Kindle版 この商品…

グローバルの新卒人気企業ランキングにみる、日本でのコンサルキャリア構築の難しさ

Universum Globalの「新卒」で働きたい会社ランキング(主要12カ国*1の合計20万人の学生対象)によると、Business分野の結果は以下のとおりになっている。Googleがやはり1位だが、2位 EY, 3位 PwC, 4位 KPMG, 5位 Deloitteと上位を会計系ファームが独占して…

総合商社マンKさんのこと。そして「商社冬の時代」は巡るのか?

Sさんのことについて書いたら、メーカーで海外営業をやっていた時のことを懐かしく思い出した。その頃の数少ない同世代で、楽しく一緒に仕事した総合商社のKさんについても書いてみたい。また、「総合商社の中の人」のトイアンナさんによるインタビューを読…

僕のメンターだったSさんのこと(注:加筆・修正したものを東洋経済オンラインに「48歳で課長になれなかった男の「以後の人生」 」のタイトルで掲載しました)

【注】この記事を加筆・修正したものを、東洋経済オンラインに2018年2月14日「48歳で課長になれなかった男の「以後の人生」 」のタイトルで掲載しています。 toyokeizai.net --------------------------------- 僕のメンターだったおじさんの話をツイートした…

経営における「コミュ力」を考える

このツイートがかなりバズった。「コミュ障」という言葉を出したせいで、「死ね」みたいなリツイート貰ったり楽しいことになりましたが、そこは本意ではなく、、 ちなみに、「俺コミュ障だし」みたいな人多いけど、仕事でのコミュニケーションは、サークルや…

アメリカの法人税は日本より高い、はずなのに、、、

グローバル企業による「租税回避」が問題になっている。直近ではGoogleが2005年以降の税金滞納分1億3千万ポンドを追加納税することで英税務当局と合意した。少し前になるがスターバックスも同様の批判にさらされ、「自主的に」2000万ポンドを納税している。…

今週のおすすめ本 - 1/22~29 「最強の業務改革」「外国語学習の科学」「なぜ人と組織は変われないのか」「How Google Works」他

今週からTwitterで紹介した書籍を中心に毎週ブログでおすすめ本をまとめていきたいと思います。皆さんの備忘録的に使って頂ければ嬉しいです。 最強の業務改革―利益と競争力を確保し続ける統合的改革モデル 作者: A.T.カーニー,栗谷仁 出版社/メーカー: …

日本市場って重要なの?: 「外資系企業動向調査」を読み解く

日本における「外資系」企業の動向はなかなか掴みにくいけれど、面白い調査を見つけた。まずは帝国データバンクの「外資系企業動向調査」(概要:企業概要データベース「COSMOS2」に収録されている 144 万社のデータ を基に、外国資本が発行済み株式の 25%…

誰もが「自分」株式会社のオーナーである

人生を、自分の労働力を「商品」とする「事業」と捉えて、自分はその「自分」株式会社のオーナーであると考える。これで人生に対する捉え方はだいぶ変わってくる。この考えを持てるようになってから、個人的には不毛な悩みを抱えることがだいぶ減った。 持ち…

「伝統」の持つ合理性と面妖さ~おっさんをバカにするだけでは世の中変わらない

安倍政権の保守傾向に対する批判の意図もあり、最近こういった言説が主にリベラル系の論者から出てくる。 良記事.「伝統」のかなりの部分は高度成長期に形成されたものだし,さかのぼってもせいぜい明治までというケースが多い.30年前の都心駅の汚ささえ…

フルタイム2馬力がなかなか実現しない日本~世帯年収の引き上げをもっと意識すべきでは

こんなツイートをした。 世帯年収2000万、とまでいかなくても、家計の問題はフルタイム二馬力で大抵解決する。問題は、そうわかってても結婚したら仕事辞めたくなる、仕事で疲弊しすぎてる日本人、じゃないかと思ってきた。経営モデルの現代化の遅れと、死ぬ…

世界中の名門大学の講義を無料で受講できる素晴らしいCourseraの世界

Courseraは無料でアメリカをはじめとした世界中の有名大学の講義を受講できる素晴らしいサービス。いい講義を見つけると登録して、つまみ食い的に空いた時間に講義ビデオを見ている。どれも実際に大学で実施されている授業をもとにしているので、講義内容は…

「内発的動機」の強さがパフォーマンスを決める~ストレスといかに対峙するか

社会人経験を積めば、内発的動機の強さがパフォーマンスを決める、というのは誰もが気づくこと。学歴が高くても、この部分が弱いが故に、大事なところで逃げたり粘れずに成果が出せない人は多い。 なぜ内発的動機の形成が大事かといえば、なぜ仕事をするかな…

「IBMグローバル経営層スタディ」からの示唆~テクノロジーが変える現代の経営(1)

昨年11月に公開されたものだけれど、IBMが定期的に実施している経営者層へのインタビュー調査の2015年版についてのご紹介。2003年から実施されている調査で、過去はCEO Study, CFO Studyなど役割に応じた調査だった。2013年からは全ての経営者層(CEO, CFO, C…

日本企業で「グローバル経営」を学ぶチャンスとは

日本経済は依然として非常に規模が大きく、顧客の要望は厳しく競合との争いも熾烈。さらに教育水準も高く、人材の質は平均的に高い。ということで、日本企業に勤めることで、巨大な市場規模と洗練度を誇る日本市場での戦い方を学べる。もしくは、輸出が中心…

P&Gの社長交代からグローバル経営を考える

今日はこのP&G日本法人交代の記事について。 toyokeizai.net この記事自体は踏み込みが浅くあまり参考にならないけれど、このニュースからはIBMなどと同様に、米の伝統的大企業の苦戦の構造が透けて見える。 1. 既存のコア事業のライフサイクルは先進国では…

クラウドがもたらす法人向けビジネスの地殻変動

先日書いたブログ記事で、IBMがコンサルティング領域でひとり負けしていることを取り上げた。IBMは、高付加価値分野はアクセンチュア、デロイト、PwCに、価格勝負なところはタタ、インフォシスなどのインド勢に、両面から攻めこまれ苦戦している状況への解が…